今後の研究の推進方策 |
今後はFcrl5の発現増強がアナジーブレイクを誘導するメカニズムについて解析を行う。昨年度の結果より、アナジーB細胞におけるFcrl5発現増強はBCR刺激によるカルシウムシグナルの回復を示したため、BCRを介したシグナル伝達経路をFcrl5が増強している可能性が考えられる。このことから、抗Fcrl5抗体を用いて、BCRとのクロスリンク実験を行い、BCRシグナル伝達がどのように制御されるか明らかにする。特に、アナジー誘導や維持に関与することが知られている分子(Lyn, CD19, PI3K, Akt, NFAT, SHIP, SHP1など)に注目して解析を進める。 また、これまでの研究結果より、Fcrl5 Tgマウスでは自己免疫病態が自然発症するが、別の自己免疫誘導モデルでも検証し、疾患特異的または普遍的に見られる現象かどうかを確認する。モデルとしては、SLEモデル(イミキモド誘導性およびB6.lprマウスとの交配)、関節炎モデル(メチル化BSAまたはコラーゲン誘導性)を試みる。この際、ABCsの誘導や自己免疫病勢への寄与も検証する。逆にFcrl5分子欠損の場合に、自己免疫病態が抑制されるかどうかをFcrl5欠損マウスにより解析し、実験結果を統合して解釈する。
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