研究課題/領域番号 |
21J20346
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
木村 颯 九州大学, 地球社会統合科学府, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
|
キーワード | SfM-MVS / 浅海底地形 / 岩石海岸 / RTK-UAV / ROV / 3次元地形モデル / DEM / 地形解析 |
研究実績の概要 |
本年度は、琉球列島において以下の調査を実施した。沖縄県与那国島では、八重山層群の砂岩泥岩互層からなる岩礁帯の海底域を対象に高解像度地形測量を実施した。SfM-MVS写真測量を行なうために、ROVに取り付けたアクションカメラによって大量の写真を撮影した。取得した約23万枚ものデジタル画像を整理・分類して、3次元モデルの構築に取り組んだ。その結果、幅75m、長さ300mの範囲で1cm/pixelの海底地形モデルを作成することができた。海食崖から波蝕棚、浅海底地形まで連続して構築した詳細な3次元モデルを判読・地形解析し、砂岩泥岩互層からなる岩石海岸において砂岩層・泥岩層と侵食地形の関係を沿岸域全体で捉えた。また、沿岸域に散在した巨礫の分布と形状解析を行ない、1mを超える礫が高頻度で運搬されることにより侵食が進行することが明らかになった。5m程度の巨礫も崩壊した位置から運搬されることが礫の空間分布から推測され、暴浪時の非常に大きい波浪が海底での侵食に影響することが示唆された。さらに、沖縄島の更新統の琉球層群石灰岩が分布する複数地域(備瀬・残波岬・喜屋武岬周辺)にて、RTK-UAVを使用した写真測量を実施し、海食崖・波蝕棚の地形と地質の関係を3次元モデルの地形解析によって調査した。石灰岩の岩石海岸には海食洞が多数形成されるため、洞窟内部とその地表域を計測して、洞窟天井の崩壊による地表の陥没危険性を評価した。これらの成果の一部は、日本地形学連合2021年秋季大会、2022年日本地理学会春季学術大会において発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルス感染拡大の影響で、対象地域である琉球列島での離島(特に与那国島)の現地調査が制限されたが、最低限の調査で必要な地形データの取得を行なうことができたことから、全体としておおむね順調に進展していると判断される。
|
今後の研究の推進方策 |
海底での効率的な測量方法の確立に努める。さらに、今年度測量を実施した範囲において、繰り返し測量することで、2度の計測期間内に起こった地形変化を計測する。これまで実測することが非常に困難であった海底での侵食量や礫の移動量を測定することで、沿岸域における波浪による侵食力の定量化を試みる。
|