現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
項目1, 2:RNA-seq解析及び、公共のデータベース・ツールを用いた in silico解析を行った。昨年度に行ったカイコ精巣を未分化・分化領域に分けたRNA-seq解析に加え、さらに、カイコの組織間、及び、ショウジョウバエのRNA-seqデータとの比較を行った。カイコの組織間のデータの比較では、1755遺伝子の精巣特異的な発現が検出された。このデータを昨年度のデータとの比較を行ったところ、未分化側で高発現していたのは77遺伝子、分化側で高発現していたのは1380遺伝子であった。ショウジョウバエで実施された、精巣の領域別の(apical〈未分化〉, middle〈分化〉, basal〈分化〉)のRNA-seqデータとの比較解析を行った。未分化領域では、分化領域と比べて発現パターンが保存されている遺伝子が比較的多く検出された。 項目1,2:本年度は新たに11遺伝子に対してCRISPR/Cas9を用いたノックアウト実験を行った。その中の1遺伝子のノックアウトホモ個体では、正常個体を交配実験において、雌雄ともに稔性の低下が確認された。さらに、精子の観察を行ったところ、正型精子である有核精子の核の局在に異常が生じていることが確認できた。この遺伝子は、項目2の2型精子形成に関与する遺伝子であることが示唆された。 項目3:昨年度までの実験系では、ノックイン効率が低い上に、対象としていた尿酸代謝遺伝子のXDH1遺伝子が組織特異的な発現をするために、本来のノックインの可否が検出できていなかった可能性が示唆された。そこで本年度は、遺伝子ノックイン効率を好感度に検出するためのレポーターカイコの作出に取り組んだ。強力でかつ、ユビキタスに発現するHSP90プロモーター下流に、EGFP-ΔATGを組み込むようにベクターを設計し、piggyBacを用いたトランスジェニック系統の作出を行った。
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