研究課題/領域番号 |
21J21679
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
真部 魁人 九州大学, 工学府, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | 圧縮性 / 気液二相流 / VOF法 / 水膜 / 数値解析 |
研究実績の概要 |
本研究では,超音速流れ場で相変化を伴う二相流動現象の解析手法の構築,及び当該手法の適用によるタービン最終段における相変化の影響を考慮した水脈・水膜に関する流動現象の解明を目的とする.本目的の実現のため,初年度は第一段階として従来の圧縮性スキームを二相流問題へと拡張した.圧縮性ナビエ・ストークス方程式に界面捕獲法の一種であるVOF法を導入することで移動界面の捕捉・追跡を行うFive-Equationモデルのアイディアをもとに,数値解析手法の定式化を行い,二次元コードの開発を行った.具体的には有限体積法により離散化を行い,非粘性流束の評価はMUSCL法により高次精度化されたHLLCスキーム,粘性流束の評価はガウスの発散定理に基づく中心差分を用いることで数値解析手法を定式化している.同手法を基礎的な検証問題であるDam-Break ProblemやLayered Poesuille Flowに適用し,実験結果および厳密解と比較することにより,その妥当性について調査を行った.また上記の定式化に加え,CSFモデル,k-ω2方程式モデルを導入することにより表面張力及び乱流の影響まで考慮することを可能とした.当該課題の最終目的であるタービン最終段における水脈・水膜に関する流動現象の解明に向けて,水平長方形管内を高速気流に伴われて流動する薄い液膜流に適用し,解析を行った.気相の主流速度や液相の体積流量など,様々な条件に対して商用コードであるFLUENTを用いた解析結果と比較を行い,本解析手法の妥当性,有効性を調査した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
圧縮性ナビエ・ストークス方程式に対してVOF関数の移流方程式を導入することにより,圧縮性二相流解析手法の構築を完了した.また,複数の検証解析の結果から数値解析手法の妥当性を確認できた.また当該手法を用いることで,長方形管内を気流に伴われて流動する液膜流について解析を行うことに成功した.主流速度が最大90m/s,液膜厚さが数十ミクロンとなる条件では,安定した解析を行うことできた.また,主流の発達に伴い液膜厚さが変化することや,乱流モデルの有無で液膜厚さに違いが生じることが明らかとなり,当初の計画はおおむね順調に進捗している.一方で,初年度は二次元コードの開発にとどまっており,表面張力や接触角の評価が解析結果に与える影響については十分に調査出来ていない.
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今後の研究の推進方策 |
気液二相流問題を解析するにあたり,時間積分に伴う数値拡散によって気液界面の解像度が低下してしまう点が課題である.次年度は長期の時間積分にわたって界面を鋭く捕獲することのできる手法について調査を進め,前年度までに構築した圧縮性二相流解析手法の強化を図るとともに,三次元コードの開発を行う.
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