研究課題/領域番号 |
21J21810
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
西村 和也 九州大学, システム情報科学府, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | バイオ画像認識 / 弱教師学習 / 画像認識 / 機械学習 / 少数データ |
研究実績の概要 |
バイオ分野に存在する簡易に取得可能な弱ラベルを用いた画像認識を目標として研究に取組んでいる.この研究目的は,AIによるバイオ画像解析において実応用の障壁となる,AIモデルの学習に大量の教師データが必要という問題を解決するためのものであり,画像認識技術の実応用促進に寄与する研究である.
当該年度は,下記の2つの研究を進め,その成果が、WACVにおいて主著で採択された。また,共著者として,MIA 1本、WACV1本、MICCAI1本に論文が採択されており.具体的な研究の内容を以下に記す. (1)二種類の弱ラベルを用いた画像認識:簡易に取得可能なラベルとして,細胞種のラベル,細胞位置のラベルを用いた細胞セグメンテーション手法に取り組んだ.二種類のラベルを直接使用すると細胞間の境界の情報は取得できない.そこで,細胞間の境界を自動で作成する方法を考案し高精度なセグメンテーションを実現した (Nishimura et al., WACV 2023 採択). (2)時系列ラベルと部分的なアノテーションを用いた細胞分裂検出手法の検討:タイムラプス中の細胞分裂に部分的にアノテーションされている際に有効な分裂検出手法を提案した.画像の時間順序を反転することにより分裂を細胞融合という異なるイベントに変換することによりアノテーションの見逃しを回避可能な手法を実現した.(Nishimura et al., MICCAI 2023 投稿中).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度の目標の一つとして二種類のラベルを用いた画像認識手法の実現を挙げていた.本年度は実際に,二種類の簡易に取得できるラベルを我々が提案したsingle-instance pastingにより効果的に使用することに成功し,目標を達成することができた.この成果はIEEE/CVF Winter Conference on Applications of Computer Vision(WACV)に採択されている.さらに,当初以上の進展として部分的なアノテーションを用いた細胞分裂検出を提案しており,その結果を医療画像解析のtop conferenceであるInternational Conference on Medical Image Computing and Computer-Assisted Interventionに投稿中である.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,新しい展開として病理画像におけるドメイン特有の簡易に取得可能なラベルの活用を検討を行う.病理画像は1万×1万ピクセルのギガピクセル画像なため,ピクセル単位にアノテーションを付与するのは難しい.一方,病理画像診断では,画像全体に対し最も重症度の高いラベルが付与されるため,画像全体に対する診断ラベルは比較的取得が容易である.本研究ではこの診断ラベルを活用して,ピクセルレベルのガン種別を判定する研究に取り組む.
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