研究課題/領域番号 |
21J40043
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
馬越 真希 九州大学, 医学研究院, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | 骨粗鬆症 / 副腎 / 副腎由来ホルモン / ステロイドミクス / 機械学習 |
研究実績の概要 |
以下の項目について検討を行った。(1) 副腎由来ホルモンと骨質劣化との関連性について、副腎由来ホルモン過剰モデルであるヒト副腎腫瘍を対象とした観察研究により検討した。 (2)生理的条件下における副腎由来ホルモンの変動が骨粗鬆症やサルコペニアの進展に影響を与えるか否かを明らかにするため、健常人を対象とした副腎アンドロゲンに関連する遺伝子多型を用いたメンデルランダム化研究を実施した。 (3) 生理的条件下における副腎由来ホルモンの変動がサルコペニアの進展に影響を与えるか否かを明らかにするため、健常人を対象としたコルチゾールに関連する遺伝子多型を用いたメンデルランダム化研究を実施した。(1) では、カテコールアミン過剰は骨質劣化を介して骨粗鬆症を進展させることが明らかとなり、副腎由来ホルモンは骨質制御に重要な役割を担っていることを見出した。(2)では、生理的濃度の副腎アンドロゲンの変動は、主に骨量を増加させることによって脆弱性骨折を抑制すると考えられ、加齢性骨粗鬆症に対する保護的役割が明らかとなった。一方で(3)では、生理的濃度のコルチゾール濃度の変動は、サルコペニアの進展に影響することが明らかとなった。したがって、ホルモンの病的過剰状態のみならず、加齢や慢性ストレスのような生理的変動下における副腎由来ホルモンの多寡が骨粗鬆症の進展に影響している可能性がある。さらに、網羅的ステロイドミクス解析によって、副腎由来ホルモンにおける個人差を見出した。今後、機械学習を用いた特徴量選択に基づいて骨質サロゲート指標となり得る副腎由来ホルモンの同定を試み、新規骨粗鬆症診断モデルの開発を進めていく。副腎由来ホルモンの不均衡は骨粗鬆症のみならず多くの加齢性疾患に関連するため、本研究の進展により、加齢を標的とした包括的治療戦略の手がかりが得られる可能性があると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
副腎由来ホルモンの病的過剰状態のみならず、生理的変動下での骨代謝への影響について明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後はさらに多くの血液サンプルで網羅的ステロイドミクス解析を実施し、機械学習を駆使した新規骨粗鬆症の診断モデルの開発を推進していく。
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