研究課題/領域番号 |
22J21352
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
林 萌英 九州大学, 理学府, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2025-03-31
|
キーワード | 磁気圏 / 電離圏 / オーロラ嵐 |
研究実績の概要 |
本研究では、オーロラ嵐の発生・発達機構の解明を目指し、オーロラ嵐の発生に伴って発生する電流(カレントウェッジ[CW])構造の時間・空間発展と、それに伴う全球磁気圏-電離圏結合[M-I結合]過程の全容を把握することを目的とする。この研究は以下の三部構成で実施される。(A) CW成長過程(発生・発達・衰退)の空間分布特性の把握。(B)観測による、全球M-I結合特性の把握。(C)数値計算と観測の融合による、全球M-I結合分布の全容把握。 本年度は、多点地上磁場データを用いて、(A)のCW成長過程を捉えるとともに、中緯度の磁場・電場観測を組み合わせることで、夜側における極域から中緯度のM-I結合過程を明らかにした。具体的には、先行研究で得られたCWが作る磁場変動モデルを応用し、中緯度の複数の磁場データを組み合わせることで、時間的、空間的に発達するCWの構造を捉えた。さらに、このCW構造と、FM-CWレーダーという電離圏観測機器で捉えた電離圏の電場を比較することにより、電場の向きや大きさがCWの構造に対する観測点の位置によって違うという傾向が明らかになった。今後は、この磁場・電場観測の結果をもとに夜側だけでなく、朝・昼・夕方側を含めた全球の磁気圏・電離圏結合の様相を明らかにしていく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、本年度予定していた「CW成長過程(発生・発達・衰退)の空間分布特性の把握」を行うことができた。加えて、磁場データと電場データを組み合わせ、夜側のM-I結合過程の把握まで取りかかることができた。この夜側M-I結合の解析については、現在明らかになっている傾向とは異なる変動を示す場合も見られたことから、今後はパターンに当てはまらない現象の解釈にも取り組む。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の計画に沿って、引き続き実施する。具体的には、 夜側の磁場・電場観測結果をもとに、朝・昼・夕側に解析範囲を広げ、CWの発達に伴う全球M-I結合を把握する。さらに、現在研究室で開発中の全球的な数値計算モデルを、観測結果と比較することによって観測では補えない部分を網羅し、全球的なM-I結合分布を詳細に解析する。
|