研究課題/領域番号 |
22J20853
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
寺田 知邑 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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キーワード | 核酸化学 |
研究実績の概要 |
本研究では、核酸医薬品の忍容性・動態制御の課題を解決する核酸医薬の素材を開発することを目的に、キラル天然物に着目した新規核酸分子の開発を目指している。 初年度である2022年度は、まず天然DNAやペプチド核酸と類似した立体構造を有するペニシリンに着目し、オリゴ核酸へ導入可能なペニシリノ核酸モノマーの開発を試みた。 まず、ペニシリノ核酸モノマーを合成する予備検討として、ペニシリン分子の2β位のメチル基に核酸塩基に相当する置換基の導入を試みた。具体的には、市販のペニシリンGを原料とし、6工程で2β位にbenzimidazole 2-thiol基を有するモノマーの開発に成功した。当初はベンジルエステルからカルボン酸への変換時に化合物の分解がみられ目的物が得られないという問題に直面したが、カルボン酸の保護基を酸性条件またはルイス酸で容易に脱保護可能なベンズヒドリルエステルに変更することで解決した。 次に、ペニシリノモノマーをペプチド固相合成法にてオリゴマー化する予備検討として、同様の方法で伸長可能なペプチド核酸(PNA)のオリゴマー合成条件を検討した。PNAオリゴマーの合成には一般的にFmoc固相合成法が採択されているが、その合成条件の最適化に関する報告は少ないため、固相担体及び縮合条件(反応温度、縮合剤、塩基、反応時間)について種々の検討を行った。さらに、PNAのN末端に市販のペニシリンG分子を導入する条件及び、固相担体からの切り出しの条件を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、初年度はオリゴ核酸へ導入可能なペニシリノ核酸モノマを設計・化学合成し、ペニシリン分子の2β位のメチル基に核酸塩基に相当する置換基を導入したモノマーを構築した。また、オリゴマーの予備検討としてペプチド核酸(PNA)のオリゴマー合成条件を検討し、さらに、PNAのN末端への市販のペニシリンGの導入条件を検討した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度では、2022年度にモノマーの合成で得られた知見を基に、ペニシリン分子の2β位へ核酸塩基に相当する様々な置換基の導入の検討及び、開発したペニシリノ核酸モノマーを最適化したペプチド固相合成法にて固相担体に導入し、その物性を評価する予定である。
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