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2022 年度 実績報告書

急性相反応物質"α1-酸性糖蛋白質"の脂質代謝を介した新規炎症制御の機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 21J23527
配分区分補助金
研究機関熊本大学

研究代表者

中村 侑加  熊本大学, 薬学教育部, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2021-04-28 – 2024-03-31
キーワードα1-酸性糖タンパク質 / 脂質代謝 / 炎症
研究実績の概要

本研究は、α1-酸性糖タンパク質(AGP)による脂質代謝を介した抗炎症作用の分子機序解明と、それを基盤とした新規炎症治療戦略の開発を最終目的としている。本年度は、その病態進展に炎症が関与することが知られている中枢神経疾患に着目し、AGPの持つ抗炎症作用がその病態生理に及ぼす影響を評価した。以下に、得られた知見をまとめる。
AGP KOマウスの評価(LPS誘発性うつ病モデル) 1)行動試験(不安様行動の評価): 先の検討で、健常時においてOpen field試験ではAGP KOマウスと野生型で差が見られなかったものの、十字迷路試験ではAGP KOマウスで不安様行動が観察された。LPS誘発うつ病モデルを作製し、同様の検討を行ったところ、野生型に比べて、AGP KOマウスで不安様症状のさらなる悪化を認めた。2)脳・海馬組織における炎症評価:健常時、AGP KOマウスの脳および海馬組織中において、TNF-αをはじめとする種々の炎症性サイトカインが上昇していた。さらに、病態時には、野生型と比較してAGP KOマウスで炎症の増悪が観察された。この時、野生型ではAGPの発現が上昇していた。3)脳・海馬組織中の脂質解析(GCMS): 病態モデルにおいて、脳・海馬組織中に含まれる脂質を測定したところ、AGP KOマウスでは遊離型画分におけるC22:6の減少が観察された。
以上の結果より、AGPは遊離型C22:6の増加に関わるとともに、抗炎症作用を介して不安様行動に対して抑制的に関わる可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度の研究成果に関して、当初の計画通り、AGP KOマウスを用いた検討によって病態時におけるAGPの炎症抑制的な役割を捉えることができ、期待以上の結果が得られている。一方、脳・海馬組織の脂質解析および炎症評価について、脳・海馬の組織学的評価法の確立や手技の習得に時間を要したため、一部遂行できなかった。以上より、現在までの進捗状況は「おおむね順調に進展している」と判断する。

今後の研究の推進方策

採用の3年度目は、2年度目の結果を受け、LCMSを用いてAGP KOマウスの血漿および組織中における脂質変動をより詳細に評価する。また、最終目標である炎症治療への応用を目指し、AGP KOマウスに対してC22:6の補充を行い、脳内炎症を併発するうつモデルに対するAGPの有効性を実証する予定である。

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公開日: 2023-12-25  

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