研究課題/領域番号 |
22J22784
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
MOKHTAR ASHKAN 熊本大学, 自然科学教育部, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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キーワード | ジアリールエテン複合ペロブスカイト型量子ドット / 発光スイッチング |
研究実績の概要 |
本研究では2022年度において、ジアリールエテン複合ペロブスカイト型量子ドット(DAE-pQD)の発光スイッチングメカニズムを解明した。また緑色の発光を示すCsPbBr3量子ドットをジアリールエテン(DAE)とシリカを用いて複合させ、単粒子に近いレベルのサイズ(50-200 nm程度)で安定なスイッチングに達成した。また赤色の発光を示すCsPbI3量子ドットもDAEと複合させ、非極性有機溶媒中において単粒子レベルで未修飾の量子ドットよりも安定で高コントラストの発光スイッチングを示す複合材料の開発に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の一つ目の課題は、DAE-pQDの発光スイッチングにおいてなぜ安定性が低いかという原因を明らかにすることであった。2022年度において発光スイッチングはFRETによるものだけでなく、電子移動もかかわっていることを明らかにした。この時、低い安定性は量子ドットに残留したホールからなり、ホール受容体を使えば高い安定性が得られることを明らかにした。しかし、ホール受容体を複合させることが難しく、溶媒が存在しない場合は使えないアプローチである。 そのため配位機能を持った官能基からDAE骨格まで1 nm以上のスペーサーを用いて電子移動が起こらい系を設計した。分離、精製のためシリカでコーティングを行い、粒子サイズは50-200 nm程度まで制御することができた。 また、双性イオンであるスルホベタイン部位をもったDAEを合成し、CsPbI3量子ドットと複合化させることで、未修飾のCsPbI3量子ドットよりも高い安定性が得られ、かつスイッチング機能を単粒子レベルでもたせることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今まで得られた結果を用いて、FRETでスイッチングを示す系の再現性と様々な実験条件を試みる。また、シリカによるコーティング法を確立させ、50-200 nmではなく、単粒子レベル(10-20 nm)でコーティング行う方法を調べる予定である。さらに、ポリマーを用いたpQDのコーティングおよび機能化の研究にも取り組む予定である。最終的にはマルチカラーの発光スイッチングを示す系の構築を目指している。
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