研究課題/領域番号 |
21J23396
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
野津 昂亮 宮崎大学, 医学獣医学総合研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | 牛伝染性リンパ腫 / 抵抗性牛 / BoLA-DRB3*009:02 / アリル特異的PCR / 遺伝子検査 / TaqManアッセイ |
研究実績の概要 |
牛伝染性リンパ腫抵抗性遺伝子(DRB3*009:02)を保有する牛は、牛伝染性リンパ腫ウイルス(BLV)に感染しても血中のプロウイルス量が極めて低いことが知られている。近年ではこの特性に着目したBLV感染症のコントロール法が検討されている。BLV抵抗性牛の使用を生産現場に普及させる為には、本牛をより簡易的かつ正確に判別できる遺伝子診断法が必要不可欠である。そこで、本研究はDRB3*009:02保有牛の簡易同定法を開発することを目的としている。 IPD-MHCデータベース (2020年12月21日時点)より取得したDRB3領域の357アリルの塩基配列の解析を行った。結果、DRB3*009:02に特異的なSNP及び塩基配列を発見し、これらは本配列上に散在的に存在していた。これらを同時に識別することにより、DRB3*009:02特異的アッセイが成立することが示唆された。 本年は、DRB3*009:02特異的TaqManアッセイの開発に成功した。更に、本PCRを用いたプール検査 (牛群ごとに血液及びDNAプールを作成し、DRB3*009:02保有牛のスクリーニングを行う検査)が、数少ないDRB3*009:02保有牛を同定するのに有用であることを発見した。本研究成果を国内学会、国際学会で口頭発表、及び国際学術雑誌HLAにおいて論文発表をした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画当初は、近年着目されているCRISPR/Casシステムを応用したアリル同定法 (CRISPR/Casアッセイ)を開発する予定だった。しかし、DRB3アリルの塩基配列を解析した結果、連続する約20塩基のみを識別するCRISPR/Casアッセイよりも、Primer及びProbeで散在するSNPを識別できるTaqManアッセイの方が本目的を達成にする為の手法として妥当であると判断した。更に近年、Primerの3’末端塩基を識別することができるTaq DNA polymeraseが開発された事で、TaqManアッセイにおけるPrimerの特異性を上げることができるようになった。以上の背景より、CRISPR/Casアッセイの開発からTaqManアッセイの開発に研究計画を変更した。 Primerの3’末端塩基を識別できるTaq DNA polymerase、DRB3*009:02 SNP特異的Primer及びTaqMan MGB probeを組み合わせることで、DRB3*009:02特異的TaqManアッセイの開発に成功した。本成果を国際雑誌で論文発表した。 研究目的を達成することができたため、当初の計画以上に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
DRB3*009:02特異的TaqManアッセイの開発に成功したため、応用研究を進める計画を立てた。今後は、1. 本アッセイを用いた国内におけるDRB3*009:02保有牛の割合調査、2. 本アッセイの生産現場での実用化に向けた試薬の改良を行う。 また抵抗性遺伝子とは反対に、BLVに感染したら高ウイルス牛になりやすい体質と関連している、BLV感受性遺伝子も存在している。上記の計画に加え、3. BLV感受性遺伝子の簡易同定法の開発を行う予定である。
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