本研究は、体内時計が刻むリズムを動的因子として考慮に入れた脂肪酸の体内動態と脂質代謝系への作用を評価することで、肥満を制圧することを目的としている。そこで令和4年度では、①ω-3系多価不飽和脂肪酸を摂取する方法の違いが体内脂肪酸組成に与える影響を検討し、②その時間的差異や脂肪酸合成系に関与する遺伝子の発現量を検討したところ、以下の成果を得られた。 1)エイコサペンタエン酸(EPA)の生体内前駆体であるα-リノレン酸(ALA)の含有量が多い油脂(EPA未含有)を高含有した食餌を動物モデルに摂取させることで、生体内のEPA脂肪酸量は増加し、脂肪酸合成に関与する因子の発現量も増加した。 2)ALAおよび上記の油脂を単回摂取しても、生体内EPA濃度及び脂肪酸合成系に関与する因子の発現量は変化なかった。 3)通常食を摂食した動物モデルを用いて生体内リズムを測定したところ、脂肪酸合成に関与する因子Xが日内リズムを刻むことを確認した。
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