研究課題/領域番号 |
21J22042
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
坂本 琳太郎 札幌医科大学, 札幌医科大学大学院保健医療学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | 有酸素性運動 / 脳血管内皮機能 / 脳血流 / 血流依存性血管拡張反応 |
研究実績の概要 |
本研究は,脳血流の増加を伴う単回の有酸素性運動および有酸素性運動トレーニングが脳血管の内皮機能の向上に寄与するのかを明らかにすることを目的としている.本研究では,内頸動脈の拡張反応を用いて非侵襲的にヒトの脳血管内皮機能を評価する.また有酸素性運動の急性効果およびトレーニング効果に関して,実験1「脳血流の増加を伴う単回の有酸素性運動が内頸動脈の拡張反応を向上させるか」および実験2「脳血流の増加を伴う有酸素性運動のトレーニングが内頸動脈の拡張反応を改善させるか」,にて検討する. 2021年度では,異なる運動強度(中強度および高強度)の有酸素性運動およびレジスタンス運動を行い,どのような運動方法ならば脳血流の増加が生じるかを検討した.その結果,呼気終末二酸化炭素分圧の低下が生じない運動強度である換気性作業閾値以下の有酸素性運動にて,運動中に脳血流の増加が維持されることを明らかにした.また脳血流が呼吸状態(過換気および呼気終末二酸化炭素分圧)によって変化し,急性運動後の評価の際に運動前から換気量が増加することが想定される.そのため内頸動脈の拡張反応の評価に対する呼吸状態の影響を検討する必要が生じた.そこで2021年度にて,呼吸の変化が内頸動脈の拡張反応に与える影響を検討した.その結果,呼吸状態の変化は,3分の二酸化炭素吸入を用いた内頸動脈の拡張反応の評価に影響を与えるが,30秒間の二酸化炭素吸入を用いた評価に対する影響は小さいことを明らかにした.また有酸素性運動トレーニングが内頸動脈の拡張反応に与える影響を調査する実験(実験2)は,新型コロナウイルス感染症に伴う施設および研究実施の制限などの影響から,実験期間が長期となることが考えられる.このことから,2021年度よりトレーニング実験を開始した.実験自体は滞りなく進行しており,2021年度終了時点ではデータの取得は全体の3割程度の進捗となっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度における計画段階では,実験1に関する予備実験として,脳血流の増加する運動方法の決定および,内頸動脈の拡張反応における呼吸状態の影響に関する実験を実施し,その後年度内に実験1を開始する予定であった.しかし新型コロナウイルス感染症に伴う施設および研究実施の制限に伴い予備実験のみの完了となった。しかし2022年度開始時点までに実験1の実験準備が完了していたため,2022年度内に実験1を滞りなく遂行でき,2022年度終了時点では全データの取得が完了し,実験データの解析も滞りなく進み,2023年度中の成果報告が可能となっている.また感染拡大に伴う制限を考慮し,実験2を当初予定していた計画を前倒しし,実験2を開始した.2021年度終了時点では,全体の3割程度のデータ取得が完了し,その後もデータ取得を継続し,2022年度終了時点までに6割程度のデータ取得が完了している.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度終了時点では,当初の計画の予定であった実験1を遂行できなかった.理由として,新型コロナウイルスの感染拡大に伴う施設の使用制限および実験の中止が生じたためである.しかし2021年度内にて実験1に関する予備実験は全て終了できたため,2022年度にて実験1の全データ取得が完了した.2023年度では実験1に関する成果の公表を行う.また同様に実験2に関しては,当初の予定を前倒し開始し2022年度終了時点で半分以上のデータ取得が完了していることから,2023年度はデータ取得を継続し,2023年度終了時点での研究成果の取りまとめおよび公表を行う.また2021年度における実験1に関する予備実験データは,内頸動脈の拡張反応の測定に関わる重要な知見であり,こちらに関しても国際誌への投稿に向けて論文執筆を行う.
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