研究課題/領域番号 |
22J22344
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 山形県立保健医療大学 |
研究代表者 |
星川 恭賛 山形県立保健医療大学, 保健医療学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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キーワード | 肩腱板筋 / 亜区画 / 関節不安定性 |
研究実績の概要 |
2022年度の研究実績は以下の通りである. (1)肩腱板筋亜区画不全モデルを作成するために各腱板筋亜区画に対する牽引力(筋出力)を算出し,実験モデルのプロトコルを確立した.具体的には,新鮮凍結肩標本8肩を用いて,超音波診断装置で測定した各肩腱板筋亜区画の横断面積(cross sectional area)から筋出力を推定し,各腱板筋亜区画不全モデルにおける牽引力の算出を行った.(2)肩腱板筋亜区画不全による上腕骨頭の不安定性を定量化するプログラムを構築した.具体的には,新鮮凍結肩標本の肩甲骨関節窩と上腕骨に設定した指標を3D digitizer を用いて計測し,肩甲骨関節窩中心に対する上腕骨頭中心を算出するプログラムを解析ソフトウェアを使用して作成した.予備実験において肩腱板筋亜区画不全モデルにおける関節不安定性を定量化することを達成した.(3)健常者を対象に,肩関節屈曲時における棘上筋・棘下筋亜区画の特異的活動について超音波エラストグラフィを使用して観察した結果を国際雑誌(JSES international)に投稿した.肩屈曲時における棘上筋・棘下筋亜区画は異なる動態を呈しており,運動初期には棘上筋の前上部亜区画が,中期には棘下筋下部亜区画の筋活動値が最大値を示した.以上から,棘上筋・棘下筋亜区画は肩関節屈曲時には独立した活動ではなく,補完的な活動を示すことを明らかにした.この結果は亜区画に対する運動介入を考える上で重要な知見となる成果であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腱板筋亜区画不全モデルにおける上腕骨頭の不安定性を定量化するための実験プロトコルの確立は終了し,現在本実験に移行しているため,おおむね順調といえる.
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今後の研究の推進方策 |
確立した実験プロトコルに基づき,以下の本実験を遂行する. (1)新鮮凍結肩標本8肩を対象に,肩腱板筋亜区画不全モデルを作成し,亜区画不全に対する関節不安定性(上腕骨頭偏位)を定量化し,亜区画不全による関節不安定性への影響を検証する.(2)新鮮凍結肩標本8肩を対象に,上腕骨頭偏位が観察された肩腱板筋亜区画不全モデルにおいて,不全亜区画以外の亜区画の代償を牽引力増加によって再現し,上腕骨頭偏位を矯正できるか検証する.上記の結果から,不全亜区画以外の亜区画の代償による関節安定性の再獲得が可能であれば,不全亜区画以外の関節安定性を矯正した亜区画の筋力増強が新たな運動介入方法となり得る可能性が示唆される.
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