研究課題/領域番号 |
22J23384
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
高畠 啓 埼玉県立大学, 保健医療福祉学研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2025-03-31
|
キーワード | 変形性膝関節症 / メカニカルストレス / 実験動物モデル / 関節軟骨 |
研究実績の概要 |
今年度は,膝前十字靭帯を非侵襲的に破断させることで,メカニカルストレスによって引き起こされる変形性膝関節症を模倣した新たなマウスモデルを作成することに成功した.従来の膝前十字靭帯損傷モデルでは小動物用手術器具を用いて外科的に靭帯が切断されていたため,メカニカルストレス以外の発症要因が関節内に混在していた.しかし,本モデルでは大腿骨を徒手的に押し込むことで靭帯損傷を引き起こし,その過程で他関節内組織への損傷を限りなく抑えることができるため,変形性膝関節症患者の発症プロセスに近い新たな実験動物モデルを作成することに成功した.また,開発した新たなモデルを対象にマウス膝関節内の関節内組織である関節軟骨,滑膜を組織学的に解析したところ,メカニカルストレスに反応して関節軟骨を分解する因子であるMatrix Metalloproteinase (MMP-3)が滑膜より先に関節軟骨にて発現することが明らかとなった.また,変形性膝関節症初期から生じることで関節軟骨分解を誘発すると言われている滑膜炎は,メカニカルストレスによって引き起こされず,かつ軟骨分解を導く可能性が低いということが示唆された.以上の結果は,変形性膝関節症発症過程において,生体内におけるメカニカルストレスと関節軟骨の関係性を解き明かす基盤となる基礎的知見を示唆する大変興味深い成果であると考えられる.次年度以降は,上述した新たなマウスモデル用いて,関節軟骨を含めた関節内組織全体の動態変動から変形性膝関節症の早期検出を試みることで,軟骨変性を予防することのできる運動様式とその分子機構を明らかにしていく.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初から予定していた実験スケジュール通りの進捗状況であるため.
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究スケジュールとしては,本年度に確立した手法論を軸に,変形性膝関節症を模倣した実験動物モデルから関節軟骨変性が生じるより以前からの分子生物学的動態を捉えることで,変形性膝関節症の早期検出の基盤となる知見獲得を目指す.
|