研究課題/領域番号 |
22KJ2541
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
高畠 啓 埼玉県立大学, 保健医療福祉学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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キーワード | 変形性膝関節症 / メカニカルストレス / 実験動物モデル / 軟骨下骨 / 滑膜炎 / 前十字靭帯損傷 |
研究実績の概要 |
今年度は,昨年度新規開発した"前十字靭帯破断によりメカニカルストレスの影響をより詳細化する変形性膝関節症マウスモデル(Non-Compression ACL-R model)"を軸に,前十字靭帯損傷時の関節面衝突による圧縮応力が軟骨変性に及ぼす影響を調査した.Non-Compression ACL-Rモデルと従来実験動物モデルとして使用されてきたCompression ACL-R modelと比較したところ,前十字靭帯損傷による関節不安定性は同じにもかかわらず,Compression ACL-R群においてモデル作製直後の軟骨表層の粗さが増大していた.また,Compression ACL-R群において軟骨細胞におけるMetalloproteinase (MMP-13)発現量が早期から増大し,急性期の軟骨変性,ならびにより早期からの軟骨下骨の骨体積比増大を誘発した.以上より,前十字靭帯損傷時の関節面衝突は軟骨表層の微細損傷を引き起こし,軟骨下骨骨硬化を伴い早期から変形性膝関節症を惹起することが示唆された.また,以上の結果は,変形性膝関節症発症過程において,生体内におけるメカニカルストレスが関節軟骨変性を誘発するメカニズムの基礎的知見を示唆する大変興味深い成果であると考えられる.最終年度は,関節軟骨,半月板といったメカニカルストレスに知覚・応答し関節全体へと影響を与える関節内組織のメカノバイオロジー機構を軸に,変形性膝関節症の発症メカニズムを試みることで,軟骨変性を予防することのできる運動様式とその分子機構を明らかにしていく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初から予定していた実験スケジュール通りの進捗状況であるため.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度の研究スケジュールとしては,関節軟骨,半月板を基盤に,変形性膝関節症を模倣した実験動物モデルから関節軟骨変性が生じるより以前からの分子生物学的動態を捉えることで,変形性膝関節症の早期検出の基盤となる知見獲得を目指す.
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次年度使用額が生じた理由 |
予備実験が想定より素早く終えることができたため,消耗品含め使用額が予定より下回った.翌年度はmiRNA解析を中心とした分子生物学解析を主として実施するため,繰越額は効率よく使用する予定である.
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