研究課題/領域番号 |
22J00135
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
井戸川 直人 東京都立大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 齢分業 / 社会寄生 / ケアリ |
研究実績の概要 |
申請者の研究計画の目的は、個体発生における齢分業システムの発現タイミングの遅延が、社会における寄生戦略者を進化させたという仮説を検証することである。そのための実験系として社会性昆虫であるアリに着目し、特に近縁種どうしが寄生関係にあるケアリ属を材料に研究を展開する。 新型コロナウイルスの影響による学位取得時期の変更に伴い、初年度である本年は3か月のみの採用となった。採用前からあらかじめ準備を進め、研究計画の遂行に不可欠な社会寄生性アリ(アメイロケアリ)及びその宿主(トビイロケアリ)の飼育系を確立することができた。また、シングルボードコンピュータと赤外線カメラを用いて、アリのコロニー動態をモニタリングするシステムを実装した。モニタリングの結果、寄生性の種は宿主の働きアリが死ぬまでは働かないという当初の予想に反して、寄生性の種の働きアリも宿主と同様に労働に従事する様子が観察された。その理由のひとつとして、野外では寄生の対象にならないような小規模の宿主コロニーを用いたことが考えられ、飼育2年目の大規模コロニーを用いた追試を行なう予定である。寄生者の齢分業パターンにタイミングの遅延がみられなかった場合には、寄生者と宿主の生理状態や寿命に着目し、寄生者が宿主に代謝ストレスを肩代わりさせているというアイデアを検証する。また、計画していた社会寄生種と宿主のゲノム解読は、十分なサンプルが得られなかったため遅れている。大規模コロニーから多数のサンプルを得ることで解析を進めたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響による学位取得時期の変更に伴い、初年度である本年は3か月のみの採用となった。しかし、採用前からあらかじめ準備を進めたため、研究計画の遂行に不可欠な社会寄生性アリ(アメイロケアリ)及びその宿主(トビイロケアリ)の飼育系を確立することができた。ただし行動実験においては、当初の予想に反する齢分業パターンがみられ、追試の必要が生じている。また、計画していた社会寄生種と宿主のゲノム解読は、十分なサンプルが得られなかったため遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
齢分業パターンを明らかにするための行動実験については、飼育2年目の大規模なコロニーを用いて追試を行なう。もしも寄生者の齢分業パターンにタイミングの遅延がみられなかった場合には、寄生者と宿主の生理状態や寿命に着目し、寄生者が宿主に代謝ストレスを肩代わりさせているというアイデアを検証する。ゲノム解読についても、大規模コロニーから多数のサンプルを得ることで解析を進めたい。
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