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2023 年度 実績報告書

2種類の細菌アクチンMreBが織りなす新奇運動能の駆動機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ2613
配分区分基金
研究機関大阪公立大学

研究代表者

高橋 大地  大阪公立大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2024-03-31
キーワード細菌細胞骨格 / 細菌アクチン / ATPase / 重合ダイナミクス / 透過型電子顕微鏡 / 生体膜 / 細胞運動 / 分子モーター
研究実績の概要

細菌アクチンMreBは多くの細菌に保存されており、通常は細胞壁合成装置の足場となって細胞の形態形成に関わる。細胞壁を持たないらせん菌スピロプラズマは、5種類持つMreB(MreB1-5)を利用して、細胞のらせんを交互に入れ替えながら遊泳運動を行う。これは、内因性の細菌アクチンを用いる唯一の生体運動機構である。所属研究室での研究によって、MreB5と、互いに系統的に近いMreB1とMreB4の組み合わせがスピロプラズマ遊泳運動に必須であることが示された。MreB5においては、令和4年度を含めた研究によって、その活性や構造が明らかにされてきた。しかし、MreB1とMreB4は可溶性のコンストラクトが存在せず、その実態は明らかではなかった。
令和4年度において、MreB1にPrSという可溶化タグを融合させることでMreB1を可溶化することに成功した。令和5年度はPrSを融合させたMreB1を用いてその活性とMreB5への影響を調べた。MreB1はATPase活性と、ATP加水分解前後での繊維の不安定化の度合いが報告されている全てのMreBよりも高いことが明らかになった。これはMreB1がいずれのMreBよりも繊維中のサブユニットの交換が速いことを示唆している。超遠心による共沈実験により、MreB1はモノマーではなく重合したMreB5に結合することが分かった。様々なヌクレオチド状態における共沈実験により、MreB1はADPまたは加水分解されないATPのアナログであるAMPPNPによって重合したMreB5を不安定化させることが分かった。MreB1はスピロプラズマの細胞膜に多く存在する負電荷の脂質に結合した。
以上の結果より、MreB1はその高い活性によって、膜直下でMreB5繊維に力を加えて運動を駆動する分子モーターである可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Assembly properties of bacterial actin MreB involved in Spiroplasma swimming motility2023

    • 著者名/発表者名
      Takahashi Daichi、Miyata Makoto、Fujiwara Ikuko
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 299 ページ: 104793~104793

    • DOI

      10.1016/j.jbc.2023.104793

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] スピロプラズマ遊泳の力発生装置を構成する2つの細菌アクチンのクロストーク2024

    • 著者名/発表者名
      高橋大地、宮田真人、藤原郁子
    • 学会等名
      生体運動班会議2024
  • [学会発表] Assembly properties of bacterial actin MreB5 essential for Spiroplasma Swimming2023

    • 著者名/発表者名
      Daichi Takahashi, Ikuko Fujiwara, Makoto Miyata
    • 学会等名
      24th Congress of the International Organization for Mycoplasmology
    • 国際学会
  • [学会発表] スピロプラズマの遊泳装置を構成する細菌アクチンMreB1の精製と機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      高橋大地、藤原郁子、宮田真人
    • 学会等名
      第61回日本生物物理学会年会

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公開日: 2024-12-25  

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