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2023 年度 実績報告書

ニーチェ哲学における「権力への意志」説と道徳批判に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ2652
配分区分基金
研究機関杏林大学

研究代表者

谷山 弘太  杏林大学, 外国語学部, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2024-03-31
キーワードニーチェ / ショーペンハウアー / 権力への意志 / 意志形而上学 / 存在論 / 説明原理
研究実績の概要

本年度は、ニーチェの権力への意志説とショーペンハウアーの意志形而上学とを、主に両者の存在論的側面に関して対比した。
ニーチェがショーペンハウアーを自らの先駆者であり、かつ最大の論敵と見なしていたことは夙に指摘されてきた。しかし、これまで両者の思想の比較検討は主に倫理学的側面に集中し、存在論という根本的なレベルではほとんど行われていない。それどころか、近年ではニーチェの権力への意志説は心理学的側面ばかりが注目され、その存在論的側面に関しては等閑に付されるようになっている。同様に、ショーペンハウアーの意志形而上学についても、カントの超越論的哲学を継承した認識論として解釈し直す傾向が盛んになるにつれ、その存在論的側面はほとんど無視されていると言わざるを得ない。
それに対して本研究は、ショーペンハウアーの主著『意志と表象としての世界』正編第二巻に基づいて、彼の意志の存在論について再考した。その結果、ショーペンハウアーが、カントの超越論的哲学の問題設定を引き継ぎつつも、彼独自の方法論に従って意志の存在論を主張していることが明らかになった。ショーペンハウアーが主張する存在論的な意志とは、カントの認識論には収まり切らない世界の側面を、カントの認識論に矛盾しない仕方で説明するための「説明原理」であったと言える。
次に本研究は、上で得られた成果をニーチェの権力への意志の存在論に適応した。その結果、ニーチェの権力への意志もまた、ショーペンハウアーとは異なる仕方でではあるが、世界を包括的に説明するための説明原理であることが明らかになった。それによって、説明原理の優劣という新たな観点から、ニーチェの権力への意志説とショーペンハウアーの意志形而上学をさらに比較検討する可能性が開かれた。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] 歴史的存在としての自由精神:ニーチェ『人間的、あまりに人間的』の責任概念2024

    • 著者名/発表者名
      谷山弘太
    • 雑誌名

      『ショーペンハウアー研究:ニーチェ特集号』

      巻: 第5巻 ページ: -

    • 査読あり
  • [学会発表] ニーチェ『人間的、あまりに人間的』における責任概念2024

    • 著者名/発表者名
      谷山弘太
    • 学会等名
      第76回関西ニーチェ研究会
  • [学会発表] 関係世界:ブーバーとニーチェ2024

    • 著者名/発表者名
      谷山弘太
    • 学会等名
      第78回関西ニーチェ研究会
  • [学会発表] ショーペンハウアーの物自体2023

    • 著者名/発表者名
      谷山弘太
    • 学会等名
      第71回関西ニーチェ研究会
  • [学会発表] オルテガの大衆批判2023

    • 著者名/発表者名
      谷山弘太
    • 学会等名
      第73回関西ニーチェ研究会

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公開日: 2024-12-25  

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