研究課題/領域番号 |
21J00345
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
近藤 亮太 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | 身体所有感 / 行為主体感 / 複数身体 / アフォーダンス / 身体拡張 / バーチャルリアリティ / 身体認知 / 実験系心理学 |
研究実績の概要 |
昨年度の結果から,2体のアバタを同時に操作した場合,身体所有感がアバタ間で切り替わっていることが示唆された。一方予備観察では,アバタの数が増えるほど,一つのまとまりとして知覚され,切り替わりではなく,同時に所有感が生じている可能性がみられた。そのため,本年度はアバタの数を操作し,複数身体の所有感を調べる実験を行った。実験では,参加者の運動に同期して動く複数のアバタ(1体,2体,4体,8体)を縦一列に並べ,ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を通して提示した。参加者は一番後ろのアバタの位置から刺激を観察した。参加者の動きは24台モーションキャプチャカメラ (OptiTrack)によってトラッキングした。参加者はヘッドホンから提示される音に従ってアバタを動かすことで身体所有感の誘発を行った。その結果,アバタの数が4体,8体の条件における全てのアバタに対する所有感はアバタ1体の所有感よりも弱くなった。ある1つの身体に対する所有感はアバタの数の影響を受けなかった。これは身体の数が増えても,同時に所有感は生起しないことを意味する。今回の実験結果が予想と異なるものだった理由として,アバタの配置や視点位置の問題が挙げられる。今回の実験では,アバタを縦一列に並べ,一番後ろのアバタの位置から刺激を観察したため,前方のアバタによってほかのアバタが隠れてしまった。そのため,前方のアバタの観察が難しく,アバタの数が多い条件で所有感が減少したと考えられる。また,アバタの数が増えるほど,一番前のアバタが観察者の身体から遠くなってしまうことも,所有感の低下に影響していると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数身体認知メカニズムを解明する上で重要だと考えられる身体の数と所有感の関係を調べる実験を行った。また,昨年度の実験結果を論文として発表した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の実験では,アバタを縦一列に並べ,一番後ろのアバタの位置から刺激を観察したため,前方のアバタによってほかのアバタが隠れてしまった。そのため,前方のアバタの観察が難しく,アバタの数が多いほど所有感が減少した可能性がある。今後の研究においては,視点位置やアバタの配置を変更することで,よりアバタのまとまりが知覚されやすい方法を検討する。そして,まとまりの知覚と複数身体認知の関係を明らかにする。
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