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2022 年度 実績報告書

肺癌オルガノイドを用いた小細胞肺癌の分子進化過程・抗癌剤耐性化メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 21J21306
配分区分補助金
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

福島 貴大  慶應義塾大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2021-04-28 – 2024-03-31
キーワード小細胞肺癌 / オルガノイド
研究実績の概要

当該年度において①-②に取り組み、それぞれ一定の成果を出している。
①小細胞肺癌(SCLC)オルガノイド 樹立:70人のSCLC患者について気管支鏡生検、喀痰、胸水、血液からSCLCオルガノイドを樹立し、2021年の世界肺癌学会で報告している他、2023年の世界肺癌学会でも報告予定である(Fukushima T, Yasuda H, Fukunaga K et al. Phenotype mapping of patient-derived small cell lung cancer organoids illuminate subtype-specific therapeutic vulnerability. 2023 World Conference on Lung Cancer)。患者採血検体からのSCLCオルガノイド樹立と永続培養については世界で報告例がなく、特許取得を行った(PCT/JP2022/034701)。なお、樹立したSCLCオルガノイドの病理像が臨床検体組織と相同していることも確認している。
②最先端のオミクス解析を用いた多角的な分子異常の把握:樹立した70サンプルのSCLCオルガノイドのうち30サンプルについて全エクソーム解析を行い、既報で報告されるSCLCに特徴的な遺伝子異常(TP53やRB1)が存在していることを確認した。また、2/70サンプルで新規治療標的となりうる融合遺伝子を同定した(BRAF融合遺伝子、PIK3CD融合遺伝子)。RNA/ATAC解析では主要転写因子発現に基づき4つのサブタイプに分類されることを確認した。均一疾患と考えられていたSCLCにおいて、転写因子調節による不均一性があることを実証した。これらの主要転写因子は実臨床におけるBiomarker候補となる可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の申請書類とは②、③の段階でやや方針を変更したが、オルガノイドライブラリーの樹立とオミクス解析から、小細胞肺癌領域に新規治療標的を導入し得る知見を見出したため。

今後の研究の推進方策

分子異常とフェノタイプの関係の解明について以下のように研究を進める予定である。
具体的には、上記オミクス解析で得られた分子異常データと各オルガノイドのフェノタイプとの関係を詳細に解析中である。現在までにオルガノイドがどのようなシグナルに依存して増殖するかを明らかにする(ニッチ依存性)解析の結果、特定のサブタイプ(POU2F3/YAP1)がIGF1R経路に強く依存していることを明らかにした。また、それらの小細胞肺癌に対して、IGF1R阻害剤が選択的に奏功することをin vitro、in vivo双方での薬剤感受性解析で実証した。実臨床における治療層別化、個別化医療に繋がりうる知見を取得した。
現在遺伝子改変を行い、見出したサブタイプにおける生物学的意義、発癌メカニズムについて前向きに検証中である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件) 産業財産権 (1件)

  • [学会発表] Phenotype mapping of patient-derived small cell lung cancer organoids illuminate subtype-specific therapeutic vulnerability.2023

    • 著者名/発表者名
      Takahiro Fukushima
    • 学会等名
      2023 World Conference on Lung Cancer
    • 国際学会
  • [産業財産権] 小細胞肺癌患者CTC由来オルガノイド製造と小細胞肺がん分子標的治療薬としてのIGF-1R阻害剤2022

    • 発明者名
      安田浩之、福島貴大ら
    • 権利者名
      安田浩之、福島貴大ら
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      PCT/JP2022/034701

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公開日: 2023-12-25  

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