研究実績の概要 |
当該年度において①-②に取り組み、それぞれ一定の成果を出している。 ①小細胞肺癌(SCLC)オルガノイド 樹立:70人のSCLC患者について気管支鏡生検、喀痰、胸水、血液からSCLCオルガノイドを樹立し、2021年の世界肺癌学会で報告している他、2023年の世界肺癌学会でも報告予定である(Fukushima T, Yasuda H, Fukunaga K et al. Phenotype mapping of patient-derived small cell lung cancer organoids illuminate subtype-specific therapeutic vulnerability. 2023 World Conference on Lung Cancer)。患者採血検体からのSCLCオルガノイド樹立と永続培養については世界で報告例がなく、特許取得を行った(PCT/JP2022/034701)。なお、樹立したSCLCオルガノイドの病理像が臨床検体組織と相同していることも確認している。 ②最先端のオミクス解析を用いた多角的な分子異常の把握:樹立した70サンプルのSCLCオルガノイドのうち30サンプルについて全エクソーム解析を行い、既報で報告されるSCLCに特徴的な遺伝子異常(TP53やRB1)が存在していることを確認した。また、2/70サンプルで新規治療標的となりうる融合遺伝子を同定した(BRAF融合遺伝子、PIK3CD融合遺伝子)。RNA/ATAC解析では主要転写因子発現に基づき4つのサブタイプに分類されることを確認した。均一疾患と考えられていたSCLCにおいて、転写因子調節による不均一性があることを実証した。これらの主要転写因子は実臨床におけるBiomarker候補となる可能性が考えられた。
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