研究課題/領域番号 |
22J11065
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
村上 玲 慶應義塾大学, 医学研究科(信濃町), 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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キーワード | ミクログリア / APOE遺伝子 / iPS細胞 / 認知症 / アルツハイマー病 / ゲノム編集 |
研究実績の概要 |
本研究は医療費介護費により医療財政を圧迫する認知症の患者数を減らすために、認知症の最大の原因疾患であるアルツハイマー病の発祥機序を解明することを目指している。近年ではアルツハイマー病の最大のリスク因子であるAPOE遺伝子e4アリルを持つミクログリアが病態形成に影響することが明らかになりつつあるが、ミクログリアはin vitroとin vivoで遺伝子発現が異なるなどin vivoでのヒトミクログリア研究は未だ途上である。そのため、本研究ではアルツハイマー病病態におけるAPOE4/4ヒトミクログリア機能をin vivoレベルで解析するモデルを作出すること目的としている。 本研究ではこれまでに健常人由来のparental APOE3/3 iPS細胞からCRISPR/Cas9システムを用いたゲノム編集に技術により、isogenic APOE4/4 iPS細胞の作製に成功している。さらにミクログリア発生に重要な転写因子であるPU.1をTet onシステムで発現するAPOE3/3 iPS細胞およびAPOE4/4 iPS細胞の作出にも成功している。当研究室で開発した誘導法によってiPS細胞からミクログリアを誘導した。誘導した細胞はミクログリアマーカーのIBA1やTREM2陽性であり、蛍光ビーズを用いた貪食機能アッセイにより貪食機能を持つことが明らかになった。これらの結果から、誘導した細胞は機能的なミクログリアであると判断した。 本研究ではこれまでにAPOE3/3型ミクログリアに対して、アルツハイマー病の病態タンパク質であるアミロイドβ処理またはリポポリサッカライドとインターフェロンガンマ処理を行うことで未処理群と比較してミクログリアからのapoEタンパク質の分泌が亢進することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
iPS細胞からミクログリアへの誘導効率が低く、誘導法の最適化を試みている。そのため、iPS細胞由来ミクログリアのin vitroでの性状解析が予定より遅れて進行している。
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今後の研究の推進方策 |
iPS細胞由来ミクログリアの誘導効率の改善と、並行してiPS細胞由来ミクログリアのin vitroでの性状解析を行い、アルツハイマー病モデルマウスへのヒトiPS細胞由来ミクログリアの移植を行い、in vivoでのミクログリアの性状解析、マウスの行動実験を行うことでin vivoモデルの開発を目指す。
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