世界中で多くの罹患者が存在する突発性難聴や、メニエール病などの変動性内耳疾患患者の「症状の推移と変動」に焦点を当て、内耳機能障害と診断されている患者に対して加速度・角速度・地磁気センサ搭載デバイスを用いて医療機関外における変動性内耳疾患の経時的な所見を解析することで、疾患の聴力と平衡覚の関係性を検討することを目指した。その中で、デバイスを貸し出して医療機関外で平衡機能検査を行うことが、医療機関内で実施する平衡機能検査(例:重心動揺検査)を行うことと同等に正確に変動性内耳疾患の経時的な所見を追跡できるかという点について検証するために、自宅で装着可能なウェアラブル加速度センサで計測される頭部運動と医療機関で測定する重心動揺検査の体重心動揺運動をモデル化して同時に計測し比較した。 デバイスを用いて計測した頭部動揺にあたる運動の変位と重心動揺計で計測した重心動揺にあたる運動の変位について、その総軌跡長と外周面積の間には有意な相関を認めた。この結果は広く市販されているウェアラブルデバイスでも、適切な信号処理を加えることで院外における重心動揺検査の評価機器として利用できる可能性を示すものと考えられ、本結果について論文投稿を行った。科学研究費助成事業・研究活動スタート支援に本年度採択され資金源を切り替えたため、実臨床において院外の平衡機能検査として使用しうるかどうかを切り替え先の研究期間で検証する予定である。
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