研究課題/領域番号 |
22J12769
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
竹内 力 慶應義塾大学, 医学研究科(信濃町), 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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キーワード | ゲノム / インシュレーター / トランスポゾン / テロメア |
研究実績の概要 |
2022年度は「インシュレータータンパク質の二重機能を担う分子機構の解明」として、Mod(mdg4)タンパク質がテロメア構成レトロトランスポゾンを制御する機構について明らかにし、論文を投稿し、Nucleic Acids research誌に受理された。 具体的には、テロメアを構成するレトロランスポゾンの発現を制御するタンパク質を明らかにするため、公共データベースを用いてテロメアを構成するレトロトランスポゾンであるHeT-A上に結合するタンパク質のリストを作成した。その中でも機能的なタンパク質を探すためスクリーニングを行い、Mod(mdg4)のvariant N (Mod(mdg4)-N)が重要である事を明らかにした。また、Mod(mdg4)-Nの結合サイトをChIP-seqにより同定し、モチーフ解析と結合配列のアノテーションについて調べ、配列特異性がある事を明らかにした。しかしながら、遺伝子発現への影響はテロメア構成レトロトランスポゾン領域に限られ、特にテロメア/サブテロメア領域での制御に重要である事が分かった。その阻害の分子的なメカニズムとして、Mod(mdg4)-N結合サイト周辺のPol II制御が重要であることも明らかにした。 さらに、Mod(mdg4)-Nのバリアント特異的欠損個体を作成すると、雌の不妊の表現型が見られる。これは、テロメア構成レトロトランスポゾンの制御が何らかのメカニズムを介して、個体の妊孕性を制御している事を示唆する。 以上の結果をまとめ論文を投稿し、追加実験を行った上で、受理された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画書における主要達成目標である、研究成果の論文としての発表を今年度で達成できた。ただし、また公開できていない興味深い知見等も残されており、これらの内容については追加解析等を含めて、次年度での発表を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
二重機能のうち、Pol IIによるエンハンサー阻害活性の制御については、今回論文として発表できた。ただし、ゲノム高次構造の部分については追加解析を含め、更なる実験が必要である。これについては、共同研究者等とのディスカッションも含めながら、多角的な視点でゲノム高次構造の遺伝子発現制御における意義について踏み込んでいきたいと考えている。
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