研究課題/領域番号 |
22J12949
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
益田 喜和子 慶應義塾大学, 社会学研究科(三田), 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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キーワード | 台湾原住民族 / 先住民 / 都市 / エスニシティ / 汎エスニシティ / 汎原住民意識 / 原住民族運動 / 民族衣装 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、台湾における1980年代の原住民族運動を端緒に顕在化した16の民族を「原住民族」として包括する「汎原住民意識」が、都市原住民間でいかに共有・維持されているのかを明らかにすることにある。 2022年度は当初の計画にもとづき、1)これまでの汎エスニシティに関する先行研究の整理及び原住民族メディアに関する文献調査、2)台湾台中市の都市原住民集落内にある民族衣装製作工房を拠点に現地調査を行った。 具体的には、2022年4月から10月にかけて、これまでの現地調査の結果を整理した上で、現代台湾において汎原住民意識の凝集力がいかに維持されているのかを明らかにするために、汎エスニシティに関する先行研究や原住民族メディア、原住民族政策などに関する文献調査を行った。これらの結果については、国内の研究会などで報告した。 2022年11月から2023年3月にかけては、台中市の都市原住民族集落に居住し、集落内にある民族衣装製作工房での活動の把握、都市における異なる民族の共住関係や「原住民族」的あるいは「部落の感覚」があるとされる空間を演出するモノの配置などについて、参与観察とインタビュー調査を行った。 また都市における異なる民族出身の人々が混在する場において、「原住民族」としての共通要素がどのように取捨選択・抽出され、諸民族の差異がいかに強調あるいは矮小化されているのかを明らかにするために、原住民族文化関連の活動や原住民に特化した生涯教育機関である台中市原住民族部落大学に関連する活動などでの調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
台湾でのフィールドワーク開始時期が新型コロナウイルス感染症の感染拡大により大幅に遅れたため。代替措置として現地調査を開始するまでの期間は、これまでの調査結果の整理・分析および文献調査を行い、学会や研究会等で発表した。2022年10月末から台湾に渡航し、11月よりフィールドワークを開始しているものの、当初の計画に比べて、やや遅れていると評価せざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究は、引き続き汎原住民族規模の活動が活発な台湾都市部における都市原住民集落や汎原住民族規模の組織、民間団体でのフィールドワークを行い、都市原住民の人々が日常生活において、大枠の「原住民族」としての意識、すなわち汎原住民意識と自民族意識との間にどう折り合いをつけ、それらをいかに両立している/いないのかを明らかにしていく。具体的には、台中市の都市原住民集落内における民族衣装製作工房での活動や仕事の把握、2023年度の台中市原住民族部落大学の授業への参加、その他関連する活動での参与観察とインタビュー調査を実施する。
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