研究課題/領域番号 |
22J21139
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
友岡 領 慶應義塾大学, 医学研究科(信濃町), 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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キーワード | 神経変性疾患 / アルツハイマー病 / アストロサイト / 3次元培養 / 新規創薬基盤 |
研究実績の概要 |
アルツハイマー病(AD)を始めとする神経変性疾患患者は社会の高齢化に伴い増加の一途を辿っており、治療法の開発が求められている。申請者はこれまでに、疾患病態を反映したアストロサイト細胞塊(iA spheroid)の作成を可能としており、本研究はAD患者由来iA spheroidの表現系評価と臨床応用に向けた誘導法の改良を行うものである。2022年度は主に①再現性向上に向けた誘導法の改良と②RNA-seqによる健常者対AD患者由来iA spheroidの遺伝子発現解析を行った。 ①本研究の誘導系は、AD患者の疾患病態を反映したiA spheroidの誘導が可能な一方で、得られる結果にバラつきが多い事が課題であった。改善には、iA spheroid誘導法と評価工程両方の改良が必要と考えられる。本年度は評価系工程の簡便化を目的に透明化・免疫染色工程の条件を最適化した。次年度はより均一なiA spheroidの作出が可能な誘導法確立を目指す。今後数種の有溝低接着プレートを用いた浮遊培養条件検討を予定している。 ②3次元浮遊培養法がiA細胞に与える影響を評価する目的に網羅的遺伝子解析を行った。2次元培養下のiA細胞と、3次元培養を介したiA spheroidを同期間培養、サンプリングしRNA-seqを行った。発現変動遺伝子を抽出し、GO解析を行うと3次元培養によって神経分化や脳発達系統の遺伝子が変動している事が分かった。更に健常者対疾患細胞の比較結果も、3次元培養を介する事で神経・グリア分化や認知症関連遺伝子群の発現変動が顕在化する事が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
iA spheroidの遺伝子発現解析および透明化・染色工程の改良については順調に進捗している。アミロイド蛍光標識系の導入に関しては、Abeta42過剰発現に伴う細胞死や発現量の制御が困難であり、難航している。
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今後の研究の推進方策 |
作出されるiA spheroidの大きさのムラが大きい事が、アミロイド蛍光標識系の導入や表現型評価を困難にしていると考えられる。再現性の高いiA spheroid作成を目的に、播種細胞数、培地交換頻度および培養プレートについて浮遊培養条件の検討を行う。
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