研究課題/領域番号 |
22J21971
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
堀田 主 慶應義塾大学, 法学研究科(三田), 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2025-03-31
|
キーワード | 国際関係史 / ソ連外交史 / CSCEプロセス / 「欧州共通の家」構想 / 冷戦終結 / 東西交渉 |
研究実績の概要 |
2022年度は、英国・イタリア・チェコ・米国の4カ国において史料調査を実施した。ヨーロッパの3カ国では、ロンドンの英国国立公文書館とフィレンツェの欧州連合歴史文書館、プラハのOSCE文書館を訪問した。これらの文書館では、CSCEプロセスにおける多国間交渉やEC・コメコン間交渉に関する文書を収集した。米国ではスタンフォード大学フーバー研究所文書館を訪問し、ソ連の外交官が残した日記や、通常戦力削減交渉に関する文書を調査した。2023年度以降は、以上の国外調査で収集した文書に基づく形で、学会報告や論文執筆を行う予定である。 2022年9月、本研究の一部を構成する論文「「欧州共通の家」構想の成立:ミハイル・ゴルバチョフとソ連の対ヨーロッパ政策、1984-1987年」を『法学政治学論究』第134号に掲載した。当該論文は、本研究の全体にかかわる「欧州共通の家」というソ連の国際秩序構想に関して、その成立過程を分析したものである。 2022年11月、新潟大学で開催されたロシア・東欧学会2022年度研究大会において、「EC・コメコン共同宣言をめぐるソ連の対ヨーロッパ政策、1985-1988年」と題する報告を行った。当該報告は、特に東西間の経済協力に焦点を当てた内容であり、2023年度内に論文として発表する予定である。 2023年3月、政策研究大学院大学で開催された公開研究会において、「ソ連の軍縮外交と検証措置:ストックホルム軍縮会議からINF条約へ、1985-1987年」と題する報告を行った。当該報告は、安全保障・軍部管理の側面から1980年代中葉のソ連外交の意義を検討したものである。その成果の一部は、2023年度内に執筆を完了させる予定である、通常戦力削減交渉に関する論文に反映する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、主に安全保障と経済の側面から、1988年までの期間におけるソ連外交の展開を分析した。これらの成果は、上述の通り、論文執筆や学会報告という形で既に発表がなされている。ロシアでの史料調査を実施できていないものの、本研究が扱う時期に関しては公刊史料やオンライン史料が充実している状況にあり、それらを活用することで、ソ連内部の議論に関して一定以上の分析が可能となった。 また、2022年度においては、英国・イタリア・チェコ・米国の4カ国において史料調査を実施した。これらの国々で収集した文書を参照し、ソ連側の史料からでは読み取ることのできない、より多角的な分析を行うことに研究の重点を置いた。実施した国外調査では、本研究の扱う1991年までの史料を収集しているため、既に発表を行った研究成果に留まらず、今後の研究においてもその調査結果を十分に活用する予定である。 2023年度以降に主に分析を行う1989-1991年という時期は、ヨーロッパ情勢において極めて多くの出来事が立て続けに起きた期間となっている。その前段階にあたる、1988年までに関する分析の大部分を2022年度内に終えていることから、現時点では本研究は「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度は、引き続き安全保障や軍備管理を軸にしつつも、新たに人権問題という側面を視野に入れ、主に1988年以降のソ連外交に関して分析を進める。2022年度と同様に国外での史料調査を実施し、情勢次第ではあるが、ロシアの公文書館での調査も検討している。新たに収集する史料を分析し、その成果を学会報告や論文執筆という形で発表することを目指す。
|