研究課題/領域番号 |
22J40015
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
中澤 真帆 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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キーワード | 特発性炎症性筋疾患 |
研究実績の概要 |
間質性肺疾患は関節リウマチや特発性炎症性筋疾患等、自己免疫性疾患に高率に合併し予後不良な病態にもかかわらず、確立された治療法はなく病態は不明である。申請者は以前、膠原病合併間質性肺疾患における肺局所の免疫細胞の表現型を詳細に解析し報告した。その結果からcoinhibitory分子陽性T細胞は抗原特異的に機能し、抗原特異的B細胞の自己反応性抗体産生に関与している可能性が考えられた。そこで膠原病合併間質性肺疾患において、高い間質性肺疾患合併率が報告されている抗Jo-1抗体陽性特発性炎症性筋疾患合併間質性肺疾患に着目し、自己反応性抗原特異的B細胞の特徴の解明を目的とした。 本年度は、まず抗Jo-1抗体特発性炎症性筋疾患患者の末梢血中における抗原特異的B細胞の同定を目指した。抗Jo-1抗体の対応抗原はヒスチジルtRNA合成酵素であることが報告されている。そこで、ビオチン化したヒスチジルtRNA合成酵素を作成し、蛍光標識ストレプトアビジンと反応させることで蛍光標識ヒスチジルtRNA合成酵素4量体を作成した。末梢血から末梢血単核細胞を単離し、B細胞を濃縮した検体を用いて、患者末梢血中のヒスチジルtRNA合成酵素結合B細胞の検出を目指した。しかし作成した4量体に非特異的に結合するB細胞を多数検出した。ヒスチジルtRNA合成酵素は約60kDaと比較的大きい分子であり、非特異的結合B細胞の除去が必要と考えられた。またヒスチジルtRNA合成酵素は3つのドメインをもつことが知られており、そのドメインを用いた4量体の作成、比較検討を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
抗原特異的B細胞を検出するための抗原4量体について、様々な条件の比較検討に時間を要しているため。
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今後の研究の推進方策 |
抗Jo-1抗体陽性特発性炎症性筋疾患における、抗原特異的B細胞を同定し、詳細な免疫表現型解析及びトランスクリプトーム解析によりその細胞群の特徴を明らかにすることを目的とする。本研究は抗原特異的B細胞に対する新規治療標的分子の解明を目指す。 まず抗Jo-1抗体IIM患者の末梢血中における抗原特異的B細胞の同定を目指す。同定に成功した後、スペクトラルフローサイトメトリーを用いた詳細な免疫表現型解析、及びscRNA-seqを用いたトランスクリプトーム解析を行いそれらの結果を統合することで末梢血中の抗原特異的B細胞の特徴を明らかにする。上記の方法が確立された後は、特発性炎症性筋疾患において高頻度に障害される肺や筋肉や皮膚など組織における抗原特異的B細胞へ応用する。
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