研究課題/領域番号 |
21J30001
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 工学院大学 |
特別研究員 |
田畑 絵理 工学院大学, 先進工学部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | キチナーゼ / キチン / Chia / パラログ / 分子進化 / 昆虫食 |
研究実績の概要 |
酸性キチナーゼ(acidic chitinase, Chia)は、昆虫や真菌の外骨格を構成するキチンを分解する酵素である。Chiaのパラログ数やそのキチン分解性は、動物の食性と大きく関わる。本研究は、現代の動物が保持するChiaのパラログ分子の機能について明らかにし、最終的にヒトのChiaパラログ分子の生物・医学的特徴を明らかにすることを目指す。本年度は、進化的解析の基盤のため、草食性動物におけるChiaの酵素機能と分子進化の関係について解析を行った。活性の低いウシと活性の高いマウスのChia間でキメラタンパク質、変異体を作製、解析することにより、ウシChiaの活性低下を引き起こす1アミノ酸置換を明らかにした。そこで、ウシ科41種のChia配列を解析した。この変異は大部分の草食性のウシ科動物で認められたが、一部の昆虫を食べる種(bush duikerとHarvey’s duiker)では保存されておらず、マウスと同じR128を保持し、高いキチナーゼ活性を示した。これらの結果から、現代でも昆虫を食べる種のChiaは活性が高く、他方、昆虫を食べない種ではChiaが機能レベルで不活性な分子へと進化したことを明らかにした。以上の結果は、ほ乳類における食性の変化に伴う分子進化であり、また、ヒトのChiaパラログの理解のための進化的知見となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ウシChiaの低活性に関わるアミノ酸残基を同定した。また、同定したアミノ酸を手掛かりに、ウシ科動物におけるChiaの機能と分子進化の関係を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、よりヒトに近い非ヒト霊長類がもつChiaパラログの機能の解析を行い、食性とキチン分解能の関係を明らかにする。そして、すでに明らかにした食虫性の動物がもつ5つのChiaパラログの機能と配列との関係から、その進化過程を推定する。
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