研究課題/領域番号 |
22KJ2741
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
内野 佑基 芝浦工業大学, 大学院理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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キーワード | 反復改良法 / 混合精度数値計算 / 実対称固有値分解 / 特異値問題 / 高精度計算 |
研究実績の概要 |
近接・重複固有値が存在する場合の固有値分解に対する高精度数値計算アルゴリズム及び高精度行列乗算スキームの開発・改良に従事し,以下の研究を実施した. (1) 近接・重複固有値を識別するための閾値の決定方法や,近接・重複固有値に対応する固有ベクトルに対する例外処理などを設計した.それにより,2022年度に開発した混合精度反復改良法を近接・重複固有値が存在する固有値問題に対応させた.Tensorコアを搭載したGPUやスーパーコンピュータ「富岳」での数値実験によって提案手法の高速性を明らかにした. (2) 高速な高精度行列乗算アルゴリズムとして知られている尾崎スキームの効率化・高速化手法を設計した.行列乗算の誤差の発生しやすさに依存した計算コストの増加を抑制し,高速化を実現した.数値実験では,誤差の発生しやすい倍精度行列乗算について従来の手法との比較を行い,提案手法は計算コストを大きく削減できることを示した. また,当該年度の研究計画に記載していない近接・重複特異値が存在する場合の特異値分解に対する高精度数値計算アルゴリズムの研究も実施した.固有値分解に対する混合精度反復改良法と同様の理論に基づき,近接・重複特異値をもつ特異値分解に対する混合精度反復改良法を提案した.多倍長精度浮動小数点演算による高精度な特異値分解と比較する数値実験を実施し,提案手法の高速性を明らかにした. 以上の成果について学会発表を実施した.さらに,オープンソースでコードを公開した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当該年度の研究計画を満足し,記載していない研究への進展があった.
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今後の研究の推進方策 |
高性能固有値ソルバや高速な行列乗算法を使用した性能評価を実施する.実装の最適化やアルゴリズムの改善も実施し,提案手法の性能向上に努める. また,提案手法を適切に評価するためのテスト問題の生成法の構築も実施する.
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度内に使用するには残額が不足していたため次年度の旅費に計上する.
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