研究課題/領域番号 |
22J12632
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
山口 昂大 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / iPS細胞 / 層別化 |
研究実績の概要 |
パーキンソン病は中脳黒質のドパミン神経脱落による運動症状を主症状とするが、発症機序は完全には解明されておらず治療は対症療法にとどまっている。症例の9割以上を占める孤発例は患者の臨床経過が多様であり、その分子メカニズムにも多様性が存在すると考えられている。本研究はiPS細胞を用いて、孤発性症例を分類することにより新たな病態解明・疾患修飾薬の開発を中心とした治療法開発につなげることを目的としている。52症例の患者由来ドパミン神経細胞において主要なパーキンソン病表現型について解析を行い、クラスター分析により細胞表現型の強弱からグループ分けを実施した。それぞれのグループは臨床表現型やin vitroでの薬剤反応性に違いがあり、確立した分類法は臨床的意義を有する可能性があると考えられた。2023年度は同定したクラスターの遺伝学的背景や分子機序を探索し新規診断・治療基盤の確立を目指すとともに、AI技術による革新的な分類モデルの開発もデータセットを拡充することで推進していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
孤発性パーキンソン病iPS細胞の層別化基盤の開発を中心に研究活動を実施した。52症例のパーキンソン病患者由来ドパミン神経細胞において神経細胞死やαシヌクレイン蓄積、ミトコンドリアクリアランス異常といった主要なパーキンソン病表現型解析を完了した。クラスター分析により細胞表現型の強弱から52症例をクラスター化し、臨床データベースと統合することにより各群間でいくつかの臨床表現型に統計学的な有意差が存在することが判明した。さらに既知の候補化合物はそのうち1つの群で他と比べて有意に細胞脆弱性を回復させることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
従来技術を用いた孤発性パーキンソン病iPS細胞の解析及び層別化は研究計画に従い、臨床的バイオマーカーや治療候補化合物の同定につなげていく。AI技術を応用した分類手法については高精度なモデル確立に当初予定より時間を要しているが、共同研究機関とも密に連携を取りながら画像データセットの大幅な拡充に加えて遺伝子発現データを含めることでデータ密度の増加を図り高精度な分類手法を開発する。
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