研究実績の概要 |
当該研究は,他者もしくは自己の印象がどのように形成されるのかを明らかにすることである。そのために,自己と他者,そしてそれらが存在する場,すなわちヒトとヒトとがインタラクションする全ての要素に着目している。これらの要素がどのように作用しあっているのかについて,自己と他者の印象形成メカニズムの解明を目指すものである。当該年度においては,他者の行動および顔による印象形成について着目した研究を行なった。具体的には,(1)詐欺被害エピソード中の人物を自己と見なした時の印象判断に関する研究や(2)マスクを着用した顔の魅力度における社会的関係性に応じた調整効果の性差という他者印象形成に関する研究といった主に2つの研究を行った。これらの研究は印象形成メカニズムを明らかにする上で評価者の属性や評価対象者との関係性が影響していることを示す,重要な知見である。成果としては,前者は国内学会で発表され論文投稿準備中,後者は論文投稿中である。また,印象評価対象をヒトからモノへと拡充させ,食品にどのような言語を対呈示することで食品印象が上昇するかという研究を行い,その研究結果について学会発表を行なった。また,広告モデルなど他者の印象形成の応用的研究についても,受け入れ教員と議論を重ね,その成果を次年度に学会発表する予定である。また,印象形成の基礎的研究である身体化と感情に関する英語論文が,査読付き国内誌に筆頭著者として1本掲載されている。以上のことから,当該年度はある一定の成果を上げることができたといえる。
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