本研究では,モンハナシャコの打撃機構を規範とした高速打撃機構の開発に取り組んできた.モンハナシャコは,キャビテーションを発生することで,1度の打撃において2度の発生力を生み出し,打撃による効果を向上するといわれている.2022年度は,開発した機構がキャビテーションの発生により2度の発生力を生成する可能性を,簡易的な発生力計測によって示した,2023年度は,水中における打撃発生力とハイスピードカメラ映像の同期撮影によって,開発した機構がキャビテーションを発生し,1度の打撃動作において2回の衝撃を発生させることを検証した.さらに,モンハナシャコの捕脚(モンハナシャコが打撃する腕)構造を考慮に入れ,アームの硬度を変化させた場合の打撃における発生力を計測した.検証の結果,開発した機構は,モンハナシャコの打撃における発生力と同様に,1度打撃において0.6 msと非常に短時間に2度の打撃における発生力を発生することが分かった.また,アームの硬度に応じてキャビテーションの発生力も増減することが分かり,打撃による効果を高めるために適切なアームの硬度が存在することが分かった. 以上より,本研究における成果を応用し,モンハナシャコの打撃動作を規範とした高速打撃機構における外骨格の弾性要素の多目的最適化設計,打撃動作に対する抗力によるエネルギ損失の軽減,キャビテーション現象の抑制とその利用による2連続の発生力生成が可能になり,打撃における発生力の強化に貢献することに期待できる.
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