研究課題/領域番号 |
22J00573
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
佐藤 僚亮 中央大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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キーワード | 漸近的表現論 / 量子群 / 作用素環論 / 確率論 |
研究実績の概要 |
コンパクト量子群の帰納極限の指標理論を研究した.従来,様々なコンパクト群の系列において,その帰納極限群の端点指標がある種の乗法性を持つことが知られている.本研究では,同様の乗法性をコンパクト量子群の帰納極限量子群の場合にも定式化した.さらに量子ユニタリ群の場合に,その帰納極限量子群の乗法的指標の具体例を構成した. この研究は確率論とも関係する.コンパクト群の指標は,既約表現全体の上の確率測度と対応することが,Fourier 解析に基づいて知られている.さらにコンパクト群の帰納極限を考えると,その指標に対応する確率測度は,統計力学と深い関係を持つ.この関係において,指標の乗法性は様々な量を計算する際に重要な役割を果たす.本研究では,指標の乗法性から非可換確率論におけるある種の中心極限定理が得られることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
帰納極限群の指標の乗法性を量子群の場合にも定式化するという課題は,本研究を計画した当初は考えていなかった.今年度はその課題に取り組み,当初の計画とは異なるが,それでも指標の乗法性から確率論とも関係する結果を示すことができた.一方で本来の計画通りの課題についても,今年度中に公表できなかったが進展があった.これらの理由から,本研究は計画から「やや遅れている」と判断する.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に沿って研究を行う.それと同時に,積極的に関連分野の専門家らと議論し,本研究の広がりも模索する.得られた研究結果は論文にまとめて公表する.
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