研究課題/領域番号 |
22KJ2782
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 神奈川県立保健福祉大学 |
研究代表者 |
根本 裕太 神奈川県立保健福祉大学, ヘルスイノベーション研究科, 講師
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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キーワード | 中年期女性 / 経年変化パターン / 大規模パネル調査 / 混合軌跡モデル / オーストラリア |
研究実績の概要 |
当該年度は、オーストラリアのクイーンズランド大学が実施しているコホート研究(The Australian Longitudinal Study on Women's Health: ALSWH)のデータを用いて、中年期女性を対象とした分析を実施した。この研究では、中年期女性の身体活動の変化パターンと糖尿病、高血圧、肥満、抑うつ、身体障害の発症との関連を検討した。本研究では、ALSWHの1946-51年コホート(n = 11,611)のデータを分析した。参加者はオーストラリアの国民健康データベースから無作為に抽出された。1998年(47~52歳)から2019年(68~73歳)まで3年間隔で郵送調査を行い、身体活動と糖尿病、高血圧、肥満、抑うつ症状、身体機能に関するデータを収集した。47~52歳から56~61歳までの身体活動の変化パターンを、混合軌跡モデルを用いて検討した。また、時変共変量を用いたCox回帰モデルにより、身体活動の変化パターンと56~61歳から68~73歳までの有害な健康アウトカムとの関連を検討した。解析の結果、身体活動の変化パターンは、Low(参加者の59.7%)、Increasing(26.3%)、Declining(5.9%)、High(8.1%)に分類された。9年間の身体活動量(MET.minutes/week)の累積中央値は、Low群が450、Declining群が1324、Increasing群が1399、High群が2323であった。Low群と比較して、糖尿病、肥満、身体障害のリスクはIncreasing群とHigh群で低く、抑うつのリスクはHigh群で低く、肥満のリスクはDeclining群で高かった。身体活動の変化パターンと高血圧との間には有意な関連はみられなかった。これらのことから、身体活動レベルが一貫して低いか低下している女性は、高齢期に慢性疾患や身体障害を発症する可能性が高く、予防プログラムの対象とすべきであることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に実施した研究成果をまとめた学術論文が採択され、今年度の研究成果についても論文投稿済みであるため、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
次のステップとして、医療費・介護費データを用いた解析を予定しているものの、データ利用の許可取得に予想以上の時間がかかっている。今後データを取得次第解析を開始し、2024年度中に解析結果をまとめて論文を投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画通りに物品購入等のために支出し、端数が残金として生じた。次年度に文房具代として使用する予定である。
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