研究課題/領域番号 |
21J20326
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
木住野 円華 東京農業大学, 応用生物科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | 食物摂取頻度調査票 / 食習慣 / 栄養不良の二重負荷 / 世帯内食事配分 / 食事タイミング / 食生活 / 睡眠 / ケニア |
研究実績の概要 |
令和3年度は、以下3点の進捗があった。 ①ケニアの食事の評価方法に関する研究は限られている。ケニア都市近郊の農民の食事データを用いてフードピラミッドへの遵守状況と栄養素摂取状況との関連を調べた。その結果、遵守レベルが高いほど栄養素摂取不足リスクが低く、フードピラミッドは栄養素不足リスクの評価に有用である可能性が示された。 ②COVID-19の影響が続き、現地へ渡航が出来なかったものの、現地協力者を通じFFQ妥当性検証および世帯内の食事配分のデータ収集を開始した。FFQの比較基準とする24時間思い出し法の調査票に世帯内の食事配分状況を調べる項目を追加した。調査対象の2地域、各約100世帯の成人女性および未就学児を対象として、身体計測、FFQ(成人女性のみ)、非連続2日の24時間思い出し法を実施した。調査は、10-11月と2-3月の二季節に実施した。これまでの食事調査データを用いて、料理の平均レシピ(食材の使用量)と料理の栄養成分値を算出し、データベースを作成した。この結果は料理単位の質問で構成されるFFQから栄養素および食品群の摂取量を算出するために用いる。 ③アフリカ農村地域における生活時刻に関する先行研究は限られている。過体重や肥満などの生活習慣病と食事の摂取状況や生活状況の関連性を検討するため、同じ地域を対象とする以前のデータを用いて食事と睡眠の時刻、身体活動状況のデータ解析を進めた。サンプルサイズが小さい為、関連性を明らかにすることは出来なかったが、対象集団では睡眠や食事のタイミングは、職業や家庭環境が影響している可能性があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地協力者と調査に関するディスカッションを重ね、計画通りに対象地域でデータ収集を開始することができた。また、計画通りに家庭料理の平均レシピのデータベースを作成した。 食事の摂取時間に着目した解析では、農村地域の生活時間や1日のエネルギー摂取配分を明らかにすることができた。しかし、サンプルサイズや対象世帯の経済状況に関する情報が限られていたことから、肥満や高血圧などの生活習慣病リスクとの関連性を明らかにすることはできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
①FFQの妥当性検証のため、24時間思い出し法を比較基準とし、2つの調査法での栄養素等摂取量や食品群別摂取量の比較を行う。FFQから栄養素摂取量及び食品群別摂取量の推定には、令和3年度に作成した料理レシピのデータベースを用いる。順位相関係数、四分位分類の一致度等を算出し妥当性を検討する。 ②成人女性とその子どもに実施した24時間思い出し法より世帯内の食事配分を評価し、世帯内の栄養不良の二重負荷と関連を明らかにする。食事配分は、個人のエネルギーおよび栄養素必要量に対する充足率を算出し、親子での不一致状況を評価する。世帯内の栄養不良の二重負荷は、過体重・肥満と低栄養(成長不調や微量栄養素不足)の世帯内混在状況を評価する。 ③持続可能で健康的な食生活のための栄養改善プログラムとして、現地へ渡航し食事計画ワークショップの企画を提案する。農村地域においては、食品の調達源として、自家生産と購入の2つの方法(経路)がある。先行研究では、それら2経路からバランスよく食品を取り入れることが質の高い食事(多様な食品から構成される食事)と関連することが示唆されている。また、欧米諸国の研究では、食事計画をすること(食事内容を前もって考えて計画的に準備すること)が健康的な食生活や健康体重と関連することが示唆されている。よって、食事の準備に携わる者は、世帯単位で必要な栄養素とその供給に必要な食品を認識し、食事を計画することが食事改善に重要であると考えられる。ワークショップは、食事を計画し、持続的にそれぞれの食品をどのように入手するかの計画を含め、本研究の結果も踏まえる。現地で、ワークショップに必要なリソースの準備や現地でのヒアリングおよびディスカッションを行う。
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