研究課題/領域番号 |
21J21541
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
福島 光太郎 東京理科大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | X線天文学 / 銀河団 / 銀河団ガス / 化学進化 / 元素合成 |
研究実績の概要 |
X線天文衛星ChandraおよびXMM-Newtonの公開データを用いて、ケンタウルス銀河団の中心銀河NGC 4696およびその周辺の銀河団ガスの元素組成比とその分布を詳細に調べた。いくつかの先行研究で報告されているとおり、銀河団最中心領域における元素組成比は、酸素、ケイ素、鉄などが外側の領域に比べて減少していた。一方で本研究では、エネルギー分解能は高いが撮像能力を持たない回折格子分光器RGS(XMM-Newtonに搭載)を利用して、CCD検出器では測定が難しかったネオン組成比の高精度測定も目指した。その結果、化学的反応性が低い貴ガス元素であるネオン組成比も鉄と同様に減少することをはじめて示した。この結果は元素が銀河団中心に分布する冷たいダストに貯蔵されて組成比減少が生ずるという従来の予想では説明が難しい。 中心銀河周辺では高い窒素/酸素組成比が得られ、古い巨星からの星風の影響を強く示唆していた。酸素/鉄、ネオン/鉄、マグネシウム/鉄比は太陽組成比より低く、ニッケル/鉄比は太陽の2倍程度、その他の元素では太陽組成に一致する元素組成比のパターンが得られた。これらの組成比を現在の超新星元素合成モデルや巨星風モデルだけで統一的に説明することは難しいが、銀河群や早期型銀河など他の古い星の系と同様に炭素爆燃型超新星の寄与が重要であるという示唆がえられた。以上の結果をとりまとめて国内外の研究会で口頭発表し、これをもとに執筆した論文が英国王立天文学会月報から出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国内外の出張に制限がかかる中で1年度分の課題繰越を行なった。一方で参加した国際学会の場での議論などをもとに解析を見直した結果、当初の想定以上に発展性が見込める結果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
発表した論文により銀河団中心における元素組成比の減少問題が、低温プラズマにおける組成比測定の不定性によって引き起こされている可能性を示した。今後はより銀河団に比べて小規模な早期型銀河などにおいても同様の解析を行っていく。
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