研究課題/領域番号 |
21J23473
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
福田 真平 東邦大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | マイマイカブリ / 適応進化 / 体色 / 構造色 |
研究実績の概要 |
本年度は新型コロナウイルス蔓延の影響で野外実験ができず、3Dプリンタ模型による捕食実験と野外サンプリングによる活動時間帯調査を行うことができなかった。そこで本年度は研究室内で飼育している、関西以南に分布している黒色のホンマイマイカブリ、東北地方に分布している赤色のコアオマイマイカブリ、関東地方に分布している青色のヒメマイマイカブリを用いてインキュベータ内で活動時間の測定を行った。その結果、赤色のコアオマイマイカブリは他の2亜種と比較し明条件下で活動量が増えていることが明らかとなった。このことから、鮮やかな体色を有する亜種は夜間に加えて日中でも活動することが示唆された。今後、北海道に分布しているエゾマイマイカブリなど、別の亜種を加えて活動時間を測定することにより、体色の違いによる活動時間帯の解明に取り組む。加えて、ヒキガエルを捕食者と想定した捕食実験を室内条件下で行ったところ、各体色の違いによって攻撃回数に差はないことが示唆された。今後、ヒキガエルを用いた捕食実験を各亜種の個体数を増やし行うことで、体色ごとの機能を評価する。 また、マイマイカブリを用いてデジタル画像による体色変異を定量化する方法を構築することで、亜種間や亜種内の構造色による体色変異を詳細に測定することが可能となってきている。今後、従来のスペクトル測定による手法と比較することで、甲虫体色の定量化に本手法が有効であるか検証していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では当初、緑色のエゾマイマイカブリが分布している北海道と赤色のコアオマイマイカブリが分布している東北地方、黒色のホンマイマイカブリが分布している関西以南の地域で、体色による捕食圧と活動時間帯を野外で調べる予定であった。 しかし、新型コロナウイルスの蔓延によって研究代表者の所属先の方針により、野外調査が思うように進めることができなかった。そこで本年度は研究室内で系統が維持されているコアオマイマイカブリとホンマイマイカブリ、関東地方に分布している青色のヒメマイマイカブリを用いて、インキュベータ内で明条件と暗条件での活動時間帯の測定を行った。さらに、両生類に対する捕食実験を室内で行い、捕食者に対するマイマイカブリの形態と体色の有効性を検証した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、初年度で扱わなかった亜種を野外サンプリングにより採集し、体色ごとの捕食圧と活動時間帯を明らかにする。加えて次年度では、構造色による体色変化を定量化する方法の構築に取り組む。この手法をサンプリング済みのマイマイカブリ標本に適用し従来の手法と比較することで、甲虫の構造色による体色変化を正確に測定することを目指す。 また、新型コロナウイルスが収束し、長期の野外調査が可能となった場合は3D模型実験を行い、野外で体色の適応的意義を検証する。
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