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2022 年度 実績報告書

日本占領期上海の「対日協力者」の文学活動―新聞文藝欄に関する考察を中心に―

研究課題

研究課題/領域番号 22J00552
配分区分補助金
研究機関日本大学

研究代表者

山口 早苗  日本大学, 文理学部, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2022-04-22 – 2025-03-31
キーワード日中戦争 / 対日協力 / 上海 / 文学者
研究実績の概要

本研究は、日中戦争期に日本占領下におかれた上海で活躍した中国文化人を取り上げ、当該時期の新聞や雑誌などのメディアの内容から彼らの実際の活動を明らかにするものである。本研究は、新聞の中でも特に文芸欄に着目することで文化人たちのこれまで知られていなかった言論活動を明らかにするものである。このため、本研究は主に資料の発見、収集、及び閲覧を基礎に進めてきた。
今年度は自身の博士論文の内容を加筆修正し、単著である『日本占領期上海の文学とメディア』(東京大学出版会、2022年)を出版することができた。この過程で、これまで着手できていなかった日本の敗戦直前の1945年の上海のメディアの状況を取り上げ、同書の第五章「蕭剣青の活動と日中戦争末期の言論空間」を執筆した。また、同書の第四章「日本占領下における楊之華の文学活動――上海文壇批判とその文学観」を一部修正したものを髙綱博文・門間卓也・関智英編『グレーゾーンと帝国――歴史修正主義を乗り越える生の営み』(勉誠出版、2023年)に発表したが、これは内容が重複しているため後述する成果には含んでいない。
この博士論文をもとにした研究とは別個に論文「占領地政権下の文学者――陶亢徳と周作人」を執筆した。同論文は、戦後に対日協力者として裁かれた陶亢徳と周作人という二人の文化人の戦前から戦後までの関係を追ったもので、近年発表された『陶亢徳文存』、『陶庵回想録』などの基本資料をもとに歴史の中に埋もれた交友関係に迫ったものである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究を進めるうえで、本来は上海図書館や北京国家図書館で資料を調査すべきであったが、新型コロナの影響を受けたことで、中国大陸では資料調査を行うことはできなかった。このため、現在までの達成度を「やや遅れている」と判断した。しかし、その代わりに台湾へ出張したことで、本研究に関連する資料を台湾の国家図書館・中央研究院近代史研究所・国立台湾図書館にて収集することができた。

今後の研究の推進方策

今年度やそれ以前に収集した新聞・雑誌資料の閲覧・整理を進めたい。適宜、資料の記事目録を作成することで資料の内容を整理する。また、8月には今年度実施できなかった中国大陸への資料調査を実施し、中国国家図書館、上海図書館を訪問し、日本国内に所蔵のない日中戦争時期の新聞資料を収集したい。こうした作業を進めたうえで、論文の構想を固め、論文執筆を円滑に進め、学術誌に投稿する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 占領地政権下の文学者――陶亢徳と周作人2023

    • 著者名/発表者名
      山口早苗
    • 雑誌名

      周氏兄弟研究

      巻: 1 ページ: 235、255

  • [学会発表] 陶亢徳と周作人2022

    • 著者名/発表者名
      山口早苗
    • 学会等名
      国際シンポジウム「周氏兄弟と1920年代――『新青年』から『語絲』へ」
  • [図書] 日本占領期上海の文学とメディア2022

    • 著者名/発表者名
      山口 早苗
    • 総ページ数
      272
    • 出版者
      東京大学出版会
    • ISBN
      4130261746

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公開日: 2023-12-25  

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