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2023 年度 実施状況報告書

人為的撹乱に脆弱な種は,種特異的な生態系サービスを提供するか?死肉除去をモデルに

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ2830
配分区分基金
研究機関日本大学

研究代表者

橋詰 茜  日本大学, 生物資源科学研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2025-03-31
キーワード生態系サービス / スカベンジング / 動物死体 / 自動撮影カメラ / 生物間相互作用 / モンシデムシ / クロバエ / 食肉目
研究実績の概要

本研究の目的は,人為的な環境改変による死体利用者の変化が,病原菌の蔓延リスクの低減という生態系サービスに対してどのような影響をもたらすのかを定量的に評価することである.人への感染リスクが高い病原菌を簡便かつ高感度で検出できる食品衛生用の検査キット「ペトリフィルム培地」を活用し,さまざまな景観において,1)死体除去機能を果たしている動物種の特定及び処理速度の評価,2)死体周辺への病原菌拡散量の定量化,3)階層ベイズモデルによるこれらの結果の統合に取り組み,人為攪乱に対して脆弱なモンシデムシ類による特異的な貢献を明らかにする.
本年度は,死体除去機能を果たしている哺乳類種を特定するために,2023年7月と9月に房総半島南部地域において現地調査を行った.先行研究を参考にして,前年度設置したカメラ地点のうち,半径300m以内の森林面積が80%以上の場所と80%未満の場所をそれぞれ計25地点ずつ選択した.各地点に自動撮影カメラ2台と実験用マウスの死体を設置し,タイムラプス機能を利用して10分間隔で継続的に監視した.この結果,大部分の死体は,イノシシ,タヌキ,ハクビシンなどの哺乳類によってすみやかに除去されていた.カメラで撮影されたデータからモンシデムシ類による死体利用も観察できたが,埋葬処理の過程で哺乳類に死体を奪われてしまうこともあった.また,予備調査から,予想に反してモンシデムシ類は森林面積の影響をあまり受けていない可能性も出てきた.これらの当初の想定とは異なる観察結果を踏まえつつ,現在統計解析を進めているところである.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

予定していたとおりの規模で現地調査を2回実施できた点は順調であるが,部分的に予想に反する結果が得られたこと,フィールドで病原菌の蔓延リスクを評価するためのサンプリングができなかったことからやや遅れていると評価した.

今後の研究の推進方策

次年度は,夏季に現地調査を実施し,「2)死体周辺への病原菌拡散量の定量化」に関するデータを取得する.また「3)階層ベイズモデルによるこれらの結果の統合」を同時並行で進めていく.順調に進んだ際には,学会で成果を報告し,論文化を進める予定である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Intraguild scavenging on carnivore carcasses is delayed enough to allow successful dispersal of maggots for pupation2023

    • 著者名/発表者名
      Akane Hashizume, Ryosuke Koda, Yoshihiro Nakashima
    • 雑誌名

      Journal of Zoology

      巻: 321 ページ: 156~164

    • DOI

      10.1111/jzo.13103

    • 査読あり
  • [学会発表] 死臭に興奮? 食肉目による擦り付け行動2024

    • 著者名/発表者名
      橋詰茜,幸田良介,中島啓裕
    • 学会等名
      第71回日本生態学会大会

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公開日: 2024-12-25  

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