研究課題/領域番号 |
21J01421
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
澤井 勇海 法政大学, 政治学研究科, 特別研究員(CPD)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 外国交際 / 中外交渉 / 事大交隣 / 外交 / 対外関係 / 東アジア / 国際関係史 / 明治維新 |
研究実績の概要 |
本年度の研究実績として、次の三点が挙げられる。第一に、米国を中心に、19世紀後半に東アジアに深く関係した西洋外交官らの史料を収集・分析したことである。とりわけ、明治初年の外務省法律顧問を務めたEli T. Sheppard関係文書(議会図書館・UCB図書館・スタンフォード大学図書館)や、米国駐日公使を務めたJohn A. Bingham関係文書(モルガン図書館)などは、菅見では日本・海外双方の研究において現在まで広く利用されておらず、当時の日本の対外関係を見直す上で発展性が期待できるものと考える。第二に、当時の西洋外交官が東アジアにおいて経験した事柄の有機的な関係性を、日中韓の国境を超えて検討する必要性を強く認識したことである。上記のSheppardをはじめとして、当時の西洋の日本関係外交官らはその前に中国での駐在を経験していることが多い。彼らの中国経験がどのように日本での外交活動と結びついたのかという点は、その意味で見過ごせない問いであるが、そのような研究は多くはなく、新たに検討を深めるべき課題であると理解し得たものである。第三に、滞在先のハーバード大学をはじめ、米国での研究会や学会などを通じて、米国や世界の日本・東アジア研究者との人的なネットワークを拡大することができた点である。日本に戻ってきた暁にも、そのネットワークを基盤に、日本および海外にて積極的に研究報告や論文公刊等を行っていきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究実施予定では、2022年度には、1. 日中韓三カ国のうち、とくに朝鮮部分に関する一次史料・二次史料を渉猟する、2. 米国を拠点に、欧米の関連史資料を収集する、3. 11-12月頃には日本・台湾での史料調査も実施する、としていた。このうち、2.および3.については当初計画どおりに順調に推移し、さらに2.の米国での史料についてはEli T. Sheppard関係文書など、予想外に有用な史料に出会うこともでき、研究の一層の充実を見通すことができるものとなった。他方で、1.については時間資源配分の問題もあり、予定通りには進んでいない。しかし総合的に見て、おおむね順調に進展していると言うことができる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、とくに2023年度の研究方針としては、次の三点を重視する。第一に、朝鮮部分に関する史資料の収集・分析に注力する。すでにコロナ禍の移動制限もほぼ緩和されつつあり、また日本に戻る関係上地理的にも近接するようになるので、朝鮮部分の検討をより容易に実施できる状況にあると考えている。第二に、日本や台湾、欧米で収集した史料につき、適宜補充的な調査も行いつつ、分析を深める。第三に、以上の史資料の収集・分析を基盤とし、研究報告や論文公刊を行う。すでに五月には、The Network for New Diplomatic Historyの国際学会にて、現段階での見取り図を報告する予定であり、その後も日本の学会・研究会等で適宜研究報告を行い、成果の公刊に向けて進んでいきたいと考える。
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