研究課題/領域番号 |
21J00567
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
小林 稔周 明治大学, 明治大学, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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キーワード | ホモロジカル次元 / Cohen-Macaulay環 |
研究実績の概要 |
本年度は以下の項目に取り組んだ。(1)節減ホモロジカル次元に関して、環基底変換時における振る舞いを正則列に注目して調べた。その応用として、さまざまな局所環上でその剰余体の節減射影次元の有限性を確かめた。(2)Gorenstein環および余次元2以下の完全交叉環の特徴づけを節減射影次元および節減Gorenstein次元を用いて行った。(1)および(2)はOlgur Celikbas氏、Souvik Dey氏、Hiroki Matsui氏との共同研究による。(3)またq-torsion freeであるような正準加群を持つ環の構造について詳細な調査を行った。特に、FoxbyによるCohen-Macaulay環上の正準加群のq-torsion free性の特徴づけを拡張し、非Cohen-Macaulayな状況に一般化した。これはNaoki Endo氏を始めとする8名の共同研究による。以上の(1)-(3)はそれぞれ論文としてまとめ、プレプリントの公開および学術雑誌への投稿を行った。さらに(4)加群のテンソル積の射影次元に関する諸性質について精査した。テンソル積が有限射影次元を持つ無限射影次元の加群を構成し、R. Wiegand氏の予想に反例を与えた。加えて射影的でない全反射加群についてはそのテンソル積の射影次元の無限性を証明した。この結果を元に、極大Cohen-Macaulay加群のテンソル積の射影次元について予想を建て、特別な場合にに対して、予想が成り立つことを確かめた。成果をまとめた論文は2023年4月にプレプリントの公開および学術雑誌への投稿を行った。(4)はOlgur Celikbas氏、Souvik Dey氏との共同研究による。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
節減射影次元は完全交叉次元および節減複雑度の一般化である。したがって、加群の節減射影次元の有限性によって完全交叉環が特徴づけられることが期待される。本研究によって、一定条件下ではあるが、剰余体の節減射影次元の有限性によって完全交叉環を特徴づけることができた。 加群のテンソル積に対し、その不変量を調べることは一般には困難である。本研究によって、広い範囲の加群のクラスに対して、そのテンソル積の射影次元を調べることができた。
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今後の研究の推進方策 |
加群の自由分解について、再度基本的文献および関連論文を精査する。特に局所環に対する剰余体の自由分解については、Tateの非輪状閉包などのよく知られた構成が存在する。これらの構成について、特にその微分写像について詳しく解析していく。必要に応じて、ホモトピーLie代数といったような位相幾何学由来の道具の応用を検討する。
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