研究課題
ヘテロ接合界面を有するタンデム太陽電池として、トップセルにペロブスカイト太陽電池、ボトムセルに結晶Si太陽電池を用いたペロブスカイト/結晶SiCタンデム太陽電池の高効率化へ向けた透明導電膜(Transparent Conductive Oxide film: TCO)の開発に取り組んだ。トップセルの表面側およびトップセルとボトムセルの中間層として、1.35 wt%のZrをIn2O3にドープしたIZrO(Zr-doped In2O3)、ボトムセルの裏面用TCOとして、1 wt%のWをIn2O3にドープしたIWO(W-doped In2O3)に着目し、TCO膜特性やバンド構造評価に加えて、界面の化学結合状態やバンドベンディング評価を行った。IZrOは、膜厚20 nmで24.6 cm2/Vsのキャリア移動度を達成し、従来の100 nm程度の膜厚でのIZO(Zn-doped In2O3)やITO(Sn-doped In2O3)と同程度のキャリア移動度を実現した。IZrOとSnO2界面では、SnO2の価電子帯上端が上方向に曲がっている可能性が示唆され、IZrOの仕事関数が影響していると考えられる。また、ボトムセル裏面用TCOとして着目したIWOにおいて、膜厚と成膜時の酸素流量を反射率の観点から最適化した。Si基板側とIWO膜界面で発生するプラズモン吸収とIWO内部で発生するフリーキャリア吸収のトレードオフにより反射率が決定されることが明らかとなった。従来膜厚の100 nm程度よりも厚膜化およびIWO中の酸素欠損を抑制するために高酸素流量が必要であることが分かった。これらを基に作成したペロブスカイト/結晶Siタンデム太陽電池において、24.5%の変換効率の達成に成功した。
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