SOGIを確立するまでには,自身の性的指向・性自認・社会的性役割・身体の性の受容が必須である 。本研究では,SOGIの受容のプロセスを子どもから大人に対し横断的調査を行い,発達過程を調べる。SOGIの受容は,社会的性役割と自身の心の間で葛藤し,その葛藤に本人も気がついていない場合があるため意識・無意識の両面から検討する必要がある。本研究では,質問紙を使った意識的な態度 (実験1),心理実験による無意識的態度 (実験2・3)の比較により,個人のバイアスの強さを明らかにし,SOGIの受容過程で生じる,心理的葛藤の原因に迫る。これにより,SOGIの認知発達プロセスが可視化され,個人の発達課題や認知特性に合わせたトレーニングプログラムの作成に繋がると考えている。 本年度は,主に実験1と実験2に注力し,就学年齢の子どもとその保護者を対象としてジェンダーステレオタイプに関するデータ収集を実施した。親子のデータの類似性を検討することで,世代間伝播に関して検討を行っている。また,SOGIの受容プロセスに関して発達モデルを作成するためには多くのデータが必要なため,引き続きデータ収集を続ける。 また,SOGIを確立したと考えられる大学生に対する実験を行ったところ,無意識的なジェンダーバイアスはほとんど認められないことがわかった。しかしながら,実験参加者から社会生活を送る上でのジェンダーバイアスを感じる場面が多々あるとの報告が上がっており,自身の価値観と社会状況の狭間の中での葛藤が見られ,より詳細な検討が必要である。
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