研究課題
最終年度の本年度では、これまでの成果の高度化と発信を行った。まず、昨年度に行った風洞水槽での越波実験について結果を詳細に分析し、越波に対する風の影響について、越波流量を補正する式および係数を提案した。これは海岸構造物の設計を拡張する将来的な展開を見据えている。本研究では風速条件下における越波過程の変化に注目していたため、規則波に対する検討を行った。しかしながら、実際の現象や防災への応用を考えると不規則波での検討は必須である。これについては本研究成果を踏まえた発展的な課題として取り扱いたい。本年度の成果発信については、国内会議で一件、国際会議で一件の発表を行い、最終成果は国際学術ジャーナルに採録された。特に実験設定・相似則については多くの研究者と議論を行い、更なる研究発展に向けて大いに参考になった。他方で、最も評価された点は「沿岸過程・災害機構に及ぼす風の影響」に着目したことやテーマ設定についてであった。研究の核となる問いが広く社会の懸念であることを学術会議の場で主張できた点は大きな成果である。国際学術ジャーナルへの投稿では、査読者と特に実験手法について建設的な議論を行った。より高度な実験実施に向けて有益なやり取りとなった。当初の予定では、成果の取りまとめが本年度の目標であったが、その成果に多くのフィードバックを得られたのは望外であった。このため、本年度をより発展的な研究提案への足掛かりとすることができた。
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Coastal Engineering Journal
巻: 2 ページ: 1~15
10.1080/21664250.2023.2286831