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2023 年度 実績報告書

中国におけるソーシャル・メディアと権力-批判的アプローチから

研究課題

研究課題/領域番号 22KJ2899
配分区分基金
研究機関金沢大学

研究代表者

工藤 文  金沢大学, 法学系, 講師

研究期間 (年度) 2023-03-08 – 2024-03-31
キーワード中国 / メディア / 私営新聞 / 批判的アプローチ / 量的テキスト分析 / 内容分析 / 新聞
研究実績の概要

2023年度は、2022年度に得た成果を元に、主に3つの研究成果を出すことができた。
第1に、2022年度に行った学会報告に基づく成果として、論文が査読誌に掲載された。論文のタイトルは「私営新聞はいかに党の新聞となったか―1950年代『新民報』上海版の公私合営化過程を対象に―」であり、『メディア研究』103号に掲載された。私営新聞であった『新民報(晩刊)』上海版に対する、1950年代の公私合営化過程を対象に、档案館の史料に基づく事例分析と内容分析を行った。この結果、党の関係者の関与によって、時事ニュースに対する統制が強まるとともに、娯楽ニュースは『新民報』独自の報道が行われており、二元的な報道体制ができあがったことを示した。ここから、1950年代の新聞に対する統制と、現代にいたるまで続く統制の関連性を考察した。
第2に、ソーシャル・メディアを対象に分析を発展させることができた。『人民日報』などのソーシャル・メディアの投稿内容を対象に、党の宣伝政策の変化を実証的に示すことができた。この成果は、学会報告や査読付き論文として発表した。
第3に、特別研究員RPD(特別研究員奨励費)の成果として、書籍を出版した。2024年3月に勁草書房より『中国の新聞管理制度―商業紙はいかに共産党の権力を受け入れたのか』を刊行した。書籍では、中国では改革開放以降、市場経済が進んだにもかかわらず、なぜ商業紙は共産党を支持し続けているのか、という問いを立てて研究を行った。主管・主弁単位制度という中国特有の制度に着目し、1949年から2018年までの70年間にわたる、制度が媒介する党と商業紙の関係を明らかにした。以上から、商業紙が党の権力を受容し、党の支配を正統化するメカニズムを実証的に示した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] ソーシャル・メディアにおける中国共産党の宣伝 ―人民日報Weiboに対する量的テキスト分析―2024

    • 著者名/発表者名
      工藤文
    • 雑誌名

      比較政治学会年報

      巻: 26 ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 私営新聞はいかに党の新聞となったか―1950年代『新民報』上海版の公私合営化過程を対象に―2023

    • 著者名/発表者名
      工藤文
    • 雑誌名

      メディア研究

      巻: 103 ページ: 193-214

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 何が党報Weiboの投稿内容を決定づけるのか―量的テキスト分析と質的比較 分析(QCA)によるアプローチ―2024

    • 著者名/発表者名
      工藤文
    • 学会等名
      日本選挙学会
  • [学会発表] 党報Weiboはいかに中国の「両会」を報じたのか―量的テキスト分析によるアプローチ2023

    • 著者名/発表者名
      于海春 工藤文
    • 学会等名
      日本政治学会
  • [学会発表] ソーシャル・メディアを通じた中国共産党のイメージ形成 ―人民日報Weiboを対象に―2023

    • 著者名/発表者名
      工藤文
    • 学会等名
      日本比較政治学会
  • [図書] 中国の新聞管理制度ー商業紙はいかに共産党の権力を受け入れたのか2024

    • 著者名/発表者名
      工藤文
    • 総ページ数
      224
    • 出版者
      勁草書房
    • ISBN
      4326303433

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公開日: 2024-12-25  

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