研究課題
高齢者は筋萎縮のみならず神経学的要因も変化が生じ,身体機能の低下を招き,特に低強度での筋力制御能力が低下している.そこで新たに低強度トレーニング法が神経学的要因に及ぼす影響の科学的根拠を築くことは重要である.神経学的要因はトレーニング初期段階で変化が生じること,筋力制御が運動機能に重要であることから,リハビリテーションでは神経学的要因へのアプローチは重要である.本研究の目的は,高齢者の神経筋機能の特徴を調べ,トレーニング効果について運動単位に着目して検討することであった.神経学的要因を定量化するために,高密度表面筋電図とデコンポジション法を用いることで,個々の運動単位の動態を評価することが可能である.この手法を用いて,健常な高齢者と筋萎縮が進んだ高齢者を比較すると,後者では運動単位の正常な発火パターンから逸脱していたことが明らかとなった.さらに地域在住高齢者の1年間の筋力変化には,筋の大きさではなく,運動単位活動が影響することが明らかとなった.上記研究結果より,高齢者における神経系の重要性が示唆された.さらに,地域在住高齢者の自宅での4ヶ月間の自重スクワットトレーニングによって,筋力や筋量には表れない軽微な運動単位の活動に変化が生じることが明らかとなった.神経系の変化が顕著に生じやすい高齢者において,低強度運動であっても神経学的な変化が生じていることを明らかにした.
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件)
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