本研究では,燃料噴霧の混合気形成過程における実機関での燃焼制御および現象解明に貢献する詳細な計測手法の開発とこれまでにない独創的な微粒化モデルの開発とシミュレーションコードの実装を行った. 最終年度は,燃料噴霧の混合気形成過程の予測を目的とした数値シミュレーションコードの開発として,噴霧の噴射過程における分裂モデル(1次分裂モデル)の開発とコードの数値計算への実装を行った.従来の分裂モデルでは気液界面の不安定性による表面波の成長を特定の波長のみ解析されているが,本モデルはノズル内乱流における圧力変化過程,ノズル内乱流の乱れ,液体噴流内部の乱れ,気液界面における表面波の発達過程を乱流の分散特性を考慮してモデルに導入している.また,これまでに取得した実験データから現象の解析と開発した数値モデルの精度検証を行った. 研究機関全体を通じて,計測法の改良によりこれまで雰囲気が一様な温度場を対象としたものであった噴霧の蒸気濃度分布の定量計測手法を不均一な温度場においても定量的に計測することを可能とした.そして燃料噴射圧力,雰囲気密度を実験パラメータとした噴霧の混合気形成過程の解析を行った結果を国際会議で発表している.また,噴霧の微粒化特性を解明するために,開発した画像解析手法による噴霧微粒化特性の解析結果は学術雑誌に掲載されている.新規な噴霧の微粒化モデルの開発とモデル解析による噴射液塊の崩壊過程に関する考察は英文雑誌に掲載されており,今後数値シミュレーションによる混合気形成の予測精度向上の成果を発表する予定である.
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