研究課題/領域番号 |
22KJ3002
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配分区分 | 基金 |
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
大澤 晴太 同志社大学, スポーツ健康科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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キーワード | 脂肪由来幹細胞 / 運動トレーニング / 細胞骨格 / mTOR / Exosome / miRNA |
研究実績の概要 |
本研究では,ADSCの脂肪分化と密接に関与する,形態・代謝・液性因子に着目し研究を行い,2022年度では,皮下および内臓脂肪由来のADSCはそれぞれ異なるメカノシグナル経路を介してEXによる脂肪分化抑制効果を修飾する知見が得られた。 そこで,2023年度には上記現象を制御するメカニズムを追求するために,皮下および内臓脂肪由来ADSCの脂肪分化制御機構において,EXが修飾するターゲットシグナルに焦点を当て薬理学的手法による検証実験を行った。この成果については,原著論文を執筆中である。 2023年度は,さらに以下の2つのプロジェクトを実施した。プロジェクト①:EXによるADSCの適応変化をもたらすシグナルの候補として,ADSCから放出されるエクソソーム内のmiRNAに着目するとともに,プロジェクト②:EXがADSCの細胞内栄養(特にアミノ酸)センサーであるmTOR複合体に及ぼす影響を検討した。 プロジェクト①では,EX群のADSCから回収したエクソソームは3T3-L1細胞の脂肪分化を著しく抑制することを見出し, EX群のエクソソームに内包されるmiRNAのマイクロアレイ解析を行った結果,EX群で特異的に発現が見られる3つのmiRNAを同定した。このEX特異的miRNAは細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)をリン酸化し,脂肪分化のマスターレギュレーターであるPPARγのリン酸化を修飾していることを明らかにすることができた。この結果は,近々国際誌に投稿する予定である。 プロジェクト②では,ADSCの脂肪分化制御機構における代謝変動に及すEXの効果に関して,mTOR複合体に着目し実験を行った。その結果,EXによるADSCの脂肪分化抑制はERKを中心としたmTOR非依存的な経路が関与することが示唆された。この結果に関しては,現在追加実験を行っており,2024年度中に国際誌に投稿する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度研究では,皮下および内臓脂肪由来ADSCの脂肪分化制御機構においてそれぞれターゲットとなるメカノシグナル経路の阻害剤を処理したところ,予想通りEXによる脂肪分化抑制効果がキャンセルされることが明らかとなった。また,ADSCの脂肪細胞分化機構におけるmiRNAおよびmTORの役割に着目した研究では,EXによる脂肪分化抑制効果にはERKシグナル経路が関与する知見を得ることができた。いずれの研究においても,原著論文の執筆が進んでおり次年度には国際誌に投稿予定である。 以上のことから,達成度は(2)おおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
2022および2023年度にかけてEXが修飾するADSCの脂肪分化制御機構を形態・代謝・液性因子の包括的な視点から明らかにしてきた。2024年度は,さらにEXの効果をトリガーする鍵因子の特定ならびにEX効果をADSCに記憶する分子機序の解明を目指す。 そのため,EXによるエピゲノム変化部位を特定し,その変化を修飾する鍵因子を特定する。さらに,特定したエピジェネティック修飾に重要な酵素群に及ぼすEXの影響を明らかにする。 最終年度は,これまで得られた結果を元に,ヒトADSCでのEX効果の再現実験も実施する予定である。
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