研究課題
単著『シュテファン・バチウ ある亡命詩人の生涯と海を越えた歌』(コトニ社、2024年3月)を出版・刊行、本研究は価値ある成果を結実させた。ルーマニア亡命詩人たちのモダニズム伝播が、ヨーロッパにとどまらずアメリカス(ラテンアメリカ、北中米)、太平洋諸島域にまで広がり、各地の詩人たちとの協働を実現していたことをシュテファン・バチウの詩の営みに中心をおきながら描き出すことができた。1960-90年代という冷戦期の苛烈な歴史と渡り合いながら、それぞれの土地の政治・文化で生まれた言葉が、互いに出遭い、世界大にひろがる連帯のネットワークをつくっていたことを本書は示した。国内外の研究でこれまで言及されることのなかった文学場について、世界で初めて書物として世に問うことができた価値は大きい。2024年1月にはハワイ大学関係者に本成果を報告し、同3月にはルーマニアのバベシュ・ボヤイ大学文学部にて講演をおこなった。詩人の亡命地や祖国で研究成果を還元、ルーマニア亡命文学の新たなる側面について現地研究者と共同研究の素地をつくり、今後の研究発展を期すことできた。またこれまでの研究プロセスについて、オーストラリアの詩人ダニエル・イオニツァ氏からインタビューを受け、ルーマニアの首都ブカレストの季刊誌Leviathan『リヴァイアサン』に2024年12月から計4回1年間にわたる連載をDialog la Antipozi「対蹠点の対話」として掲載される。これも研究のさらなる浸透を進めるものであった。2023年12月には文学誌『河口から』に「オウィディウスへの手紙」を寄稿、ルーマニアでは論集Epistolae catre Ovidiu『オウィディウスへの書簡集』に、Catre Ovidiu la Leuke「レウケのオウィディウスへ」を発表するなど、現代情勢を踏まえ成果を世に問うた、実り多き最終年度だった。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件) 図書 (1件)
LEVIATHAN
巻: Anul VII, Nr. 1 (22) ページ: 37,41
巻: Anul VI, Nr. 4 (21) ページ: 54,58
Epistole catre Ovidiu
巻: 1 ページ: 193,198
河口から
巻: XI ページ: 64,85